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データから見る関西の保育事情
関西圏内の保育事情や、転職事情とは
保育士として働く上で、給与や立地、働きやすさというのは重要な条件となります。
昨今は保育士不足や待機児童が社会問題となっていますが、誰でも、どこでも、保育士として採用されるという訳ではありません。
都道府県によっては深刻な保育士不足な地域もあれば、比較的保育士確保が出来ているという地域もあります。
そうなってくると、今の職場から転職を考える際には、「どこでも良い」という選択肢ではいけません。
今回は関西圏内の保育事情や、その保育事情から見えてくる転職事情を紹介します。
関西圏内の保育士の平均年収と平均賞与
保育士の全国平均年収は「363.4万円」で、平均賞与+手当は「70.0万円」となっており、この数字は他業種の平均年収、賞与に比べるとかなり低い水準となっています。
この給与面の低さも「保育士不足」の大きな原因の一つとも考えられます。
保育士の平均年収、平均賞与+手当は地域によってもばらつきがあるので、今回は関西圏内の保育士の平均年収と平均賞与+手当を表にまとめました。
関西圏内の保育士の平均年収、平均賞与+手当は、比較的に全国平均を上回っているところが多めです。
滋賀県は平均月給で他都道府県と大差は出ないものの、賞与・手当が全国的に高いことから平均年収が高くなっています。
各種手当の豊富な施設や、夜勤を伴う保育施設が多いことが理由と考えられるでしょう。
関西圏内で保育士として働く事を考えている人は、一つの目安となるでしょう。
関西圏内の保育労働者数と平均勤続年数
全国の保育労働者数は約25万6千人で、平均勤続年数は7.8年となっています。
一度職に就いて定年まで働くという人もいる中、この勤続年数7.8年という数字は決して長い数字ではありません。
全国の平均年収よりも高い地域の方が、続ける保育士が多いのか、保育士の数も多いのか、気になる保育士労働人口を表にまとめました。
大阪府は保育労働者数が多い反面、勤続年数が比較的短いという結果でした。
一方、奈良県は勤続年数は全国平均を大きく上回っているにも関わらず、保育者数が圧倒的に少なめ。
また大阪府だけでなく、兵庫県と滋賀県も勤続年数において全国平均を下回っています。
一概に「給料が良いから続く」「給料が良いから保育士不足ではない」という訳ではないことが分かります。
関西圏内の保育園の待機児童数
給与が良いから長続きするという訳ではなく、1年でも1日でも長く保育の仕事を続けるためには、「働きやすい環境」というのが必要です。
一概に「これが働きやすい環境」という答えはなく、各園独自のやり方で、保育士確保や保育士が長く仕事を続けられるような配慮を行っています。
一園ずつ働きやすい環境かどうかを調べることは不可能ですが、各地域の待機児童数を見れば、ある程度の働きやすい環境かどうかを知ることができます。
関西圏内の令和2年4月1日現在の待機児童数を表にまとめました。
参照：厚生労働省｜2020(令和2)年4月1日時点の待機児童数について
同じ関西圏内の保育園でも待機児童数にはかなりのばらつきがあることが分かります。
保育労働者数の多い大阪府でも、待機児童数は全国平均を大きく上回っています。
同じように兵庫県も保育労働者が多いですが、待機児童数は全国的に見ても非常に多い傾向。
特に明石市は令和2年4月現在で365人と、全国ワースト2位を記録したことも。
なおこのときのワースト3位は、同じく兵庫県の西宮市（345人）でした。
関西圏内の転職事情
各保育園の働きやすい環境作りの取り組みは調べることは難しいですが、各都道府県の平均年収、平均勤続年数、待機児童数からある程度推測することができます。
関西圏内の転職事情を細かく紹介します。
大阪府
大阪府は、平均年収が全国を上回っているものの、平均賞与+手当が全国平均よりも低く、手当の充実や賞与のアップが望まれている現状です。
保育者労働数が多いにも関わらず、平均勤続年数が低いことも課題として挙げられる部分でしょう。
施設・事業所数は令和2年4月1日時点で2,631か所と多いですが、待機児童問題の解消には至っていないため、今後も保育士の需要拡大が予想されます。
これを受け大阪府ではさまざまな事業を行っており、今後保育士の待遇が良くなっていくことが期待されます。
京都府
京都府での保育士としての年収や賞与は、全国トップクラスの水準。
そのため勤続年数も長く、入れ替わりが少ないというイメージです。
全体のデータから「労働環境が比較的良い」ことが分かりますが、一方で京都府での転職は狭き門であるともいえます。
待機児童数も全国平均より大きく下回っていることから、今後保育施設数が爆発的に増えることはあまり考えられないでしょう。
兵庫県
兵庫県は平均年収や賞与が全国平均より若干高い水準、保育士の数も大阪府に次いで多いですが、勤続年数が短いという課題があります。
しかし待機児童数が全国平均よりかなり多いという点から、地域によっては保育士の受け皿が急拡大しているところも。
ここ数年で保育施設数を増やしている背景から、待機児童数は若干減少の傾向にあるものの、今後も保育人材の確保が急がれています。
よって兵庫県で転職を考える場合は、「長く安定して働くことができるか」という点に重きを置くと良いでしょう。
滋賀県
滋賀県は、平均賞与+手当が全国平均よりかなり高い水準にあることが影響し、平均年収が関西ではトップを誇ります。
一方で平均勤続年数は全国平均をやや下回っていることから、保育士が長く安定してキャリアを形成できる環境づくりが必要とされています。
待機児童数が平均より多いため保育人材の確保が急がれていますが、保育労働者数が若干少なめ。
よって滋賀県内での転職は狭き門ではありませんが、「キャリア形成が考えられる職場であるか」という点に重きを置くと良いでしょう。
奈良県
奈良県は平均賞与+手当の面で全国平均をやや下回っているものの、平均勤続年数は8.5年と全国平均を上回ります。
そのため、比較的長く安定して働ける環境が整っているといえるでしょう。
一方で全体の保育施設数や保育労働者数に比べ待機児童数が多く、保育士の需要が拡大することが予想されます。
「自分がどんな働き方をしたいか」という点をよく考えて職場を選びしましょう。
和歌山県
和歌山県は平均年収が全国平均より低く、関西でも一番低い水準にあるのに対し、平均勤続年数が8.3年と長め。
このことから、働きやすい環境が整っている園が多いということが考えられるでしょう。
一方で平均年収の低さは課題点として挙げられるため、和歌山県で転職する際は待遇面にも重きを置くと良いでしょう。
まとめ
一般的に「保育士の給料は安い」と認知されています。
もちろんそれは現実的なことでありますが、保育環境や地域によっては、保育士の全国平均の年収よりも高い、働きやすいということがあります。
転職を考える際に、自分の希望する条件を満たす地域もあれば、そうでもない地域もあるように、昨今の保育業界は一概に説明できない部分があります。
しかし今回のように、平均年収や勤続年数、待機児童数から見ると、ある程度の保育事情の「地域性」が見えてきます。
そんな中で、保育士として働く、転職を考えている人の参考になればと思います。
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