【保育士の残業問題】原因と残業時間削減のためにできること

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保育の世界では「残業なんて当たり前!」と残業が常態化している保育園もあります。

残業や持ち帰りの仕事に追われ、自分の時間を犠牲にしている保育士は少なくありません。

なかには、日々の業務量の多さに加え残業も多いことを理由に、保育職から離職してしまう保育士も。

そこで今回は、なぜ保育士は残業が多いのか、残業を減らす方法はないのか、保育士特有の残業問題について考えてみました。

保育士の残業の実態

では実際、保育士が日々どのくらい残業しているのか気になりますね。

厚生労働省の統計よると、保育士の残業時間は平均1日4時間前後となっています。
出典:厚生労働省|平成30年賃金構造基本統計調査

保育士は業務量が多く、日中の保育時間に事務作業や行事の準備ができません。

それがゆえに勤務時間外に事務や行事準備などをすることになるため、必然的に残業が増えてしまうのです。

なお1日の平均残業時間が4時間の中に、持ち帰りの仕事(サービス残業)は含まれていません。

また保育園では早朝保育や夜間の延長保育に対応するため、朝7時から夜20時頃まで開園している園がほとんど。
「早番のため朝6時30分に出勤し、退勤は19時近くになる」というパターンも珍しくありません。

日々の残業が減らない原因

保育士の残業が多くなる理由は、保育士特有の問題や保育園の体制が変わらないことなどが挙げられます。

以下にて、残業が減らない原因を一つずつ解説します。

業務量が多い

受け入れからお迎えの時間までに子どもたち一人ひとりの保育をするために、保育士は一日中動き回っています。

また保育業務だけではなく、

事務作業

玩具の消毒や汚れ物の洗濯

保育室やトイレの清掃

保護者対応

保育用品の在庫管理や発注

行事の準備や企画

上記のような事務的な作業も、保育園では全て保育士が行っていることが多数。

日中に子どもを保育しながらできない業務も多いため、勤務時間外に行うこととなり、残業が増える原因の一つとなるのです。

またそれでも終わらない仕事は、自宅に持ち帰ってサービス残業をすることもあります。

人手が足りていない

保育士の慢性的な人手不足は、日本全体で深刻な問題として取り上げられていますね。

保育園での保育士の配置は、

4歳以上児 → 30人につき保育士1人

3歳児   → 20人につき保育士1人

1・2歳児  → 6人につき保育士1人

0歳児   → 3人につき保育士1人

という国が定めた配置基準がありますが、実際この人数では手が回らないことがほとんど。

人手の補充としてパート保育士などを配置している保育園も多いですが、実際には人件費の問題で多数雇うことができなかったり、パート保育士自身が「扶養範囲内」の勤務を希望している場合など、さまざまな事情から上手くいかないというケースもあります。

人手が足りなければたくさん雇えばいい、とはいかないものなのです。

園行事の多さに振り回される

保育園では入園式から始まり、一年を通してたくさんの行事が行われます。

運動会のような大きな行事から七夕会、お月見会のような季節のイベント、毎月のお誕生日会などが挙げられます。

ひとつの行事が終わるとすぐにまた次の園行事の企画や準備!という計画を立てている園も少なくないでしょう。

また古くからある行事を大切にしている園では、卒園式・入園式以外に、お別れ会や卒園児保護者との送別会、進級式まである場合も。

園の行事は子どもたちを喜ばせるために必要なものですが、保育士の負担は決して軽いものではないのです。

残業を減らすためにできること

では、保育士の業務やそれによって発生する残業を減らすためには、どのような取り組みを行うべきでしょうか。

以下では、5つのポイントについて解説します。

業務のタスク化を図る

業務のタスク化を図るには、まず以下のことに取り組んでみましょう。

  • 解決可能な単位まで分解し担当と期限を割り振ること
  • 課題の内容をToDoリストに反映し"見えるように"すること

保育士の業務に例えると、手の空いている保育士がなんとなく時間を見てトイレ掃除を行うのではなく、誰が・いつ行うのか担当表を作成する、ということです。

クラス保育は担任制の保育園がほとんどのため、細かく分担するのは難しい面もあります。

しかし雑務に関しては見えるように業務を振り分けていくことで、効率的かつ公平に業務を進めることができるのです。

業務の電子化をすすめる

近年では、連絡帳の記入などの事務作業にタブレットを導入しているといった、先進的なシステムを取り入れた園が増えてきています。

こういった業務の電子化は、紙での作業よりもはるかに素早く効率よく作業することができます

紙に手書きで書く温かさを大事にしたい方針の園もあるでしょう。
しかし保護者(スマホ)・保育園(タブレット)で日々の情報を共有することは、お互いにとって時間短縮になるだけでなく、分かりやすく記録として残しておけるなどたくさんのメリットがあるのです。

保育士だけでなく、小さな子どもを抱えながら働いている保護者も忙しい方がほとんど。

朝、連絡帳に手書きで子どもの情報を記入しカバンに入れて担任に渡すという、保護者の手間も省くことができます。

時間内に終わるようスケジューリングする

残業を減らすには、まず一日のスケジュールをしっかり立てることが大切です。

行事の準備などはスケジュール帳で「何をいつまで終わらせる」と計画を立て、間に合うためには今日はどこまでやるのか逆算していきます。

一日の作業の目安を自分の中で整理することで、ついだらだらと残業してしまうことを防ぐことができます。

また優先順位を決めて、重要度の高いものから作業を進めていくのもよいでしょう。

園行事の準備を見直す

園行事は保護者に子どもの成長を感じてもらったり、子どもたちの思い出に残る大切なものです。

あくまでも園行事の主役は子どものはずですが、園内全体に装飾を施したり、子どもの衣装を一人ひとり手作りで作成したり、内容より見た目や見栄えに手間をかけていませんか?

衣装は既製品を購入し、綺麗に保管して使い回すという園もあります。
園行事の会場全体を華美に装飾するのをやめ、風船を飛ばして行事後に子どもたちにプレゼントしても喜ばれた、という例も。

工夫次第で、頑張りすぎていた園行事の準備を減らすことができるのです。

雇用形態を変える、残業の少ない園に転職する

保育園側がシステムや体制を見直すまで待っていられない、というパターンも少なくありません。

残業続きで体調が優れない

自分の時間を大切にしたい

子どもやパートナーと過ごす時間を増やしたい

など、勤務先に長くいられないと気づく理由はさまざまです。

体力面に不安があったり仕事とプライベートをさらに両立させたい場合は、転職について検討してみてもよいかもしれません。

また、最初から残業の少ないことが特長である保育園に転職するということも選択肢の一つです。
残業の少ない保育園の以下のような特徴があります。

園行事が少ない

保育士の人数が多い

事務作業の電子化が進んでいる

残業の少ない保育園を選んで転職することで、保育士の仕事がもっと楽しくなるかもしれません。

まとめ

保育士は子ども好きで責任感が強く優しい方が多いため、「子どもたちのために」とつい頑張りすぎてしまうことも。

ついつい無理してしまう気持ちも痛いほどよく分かりますが、それで自分自身が苦しくなってしまうと元も子もありません。

プライベートの時間も充実しながら生き生きと働くことができたら、保育士の仕事はもっと魅力的なものになるはず。

保育士の残業は当たり前!と諦めてしまう前に、本記事が残業を減らすためにできることを考える「きっかけ」になれば幸いです。

 

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