保育士の収入が上がる?処遇改善手当について分かりやすく解説!

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子どもの成長に寄り添える保育士の仕事は魅力的な仕事である一方、労働時間が長かったり、賃金が低かったり必ずしも待遇がよいとは言えない現実もあります。そうした労働条件の改善を目指し、導入された制度が処遇改善手当(処遇改善等加算)になります。本制度の概要について具体的にまとめました。

処遇改善手当とは

処遇改善手当とはどのような制度なのでしょうか。

制度が導入された背景から目的までをまとめました。

処遇改善手当とは

処遇改善手当とは、保育士の給与が低い、キャリアパスが描きにくいといった状況を改善すべく取り入れられた制度。
正式名称を「処遇改善等加算」といいます。

一定の条件を満たすことで国や自治体から支給され、給与に加算される仕組みです。

スキルを獲得しながらキャリアアップの研修を行い、給与の上昇を実現するための仕組みまでが整えられていることが、この制度の特徴。

つまり保育士の離職を防ぎながら保育士の給与水準を上げ、キャリアアップを後押しすることを目的としています。

処遇改善手当が導入された背景

夫婦共働きの家庭が増え、それに伴い保育園のニーズは高まっています。
しかし保育園のニーズが高まる一方で、慢性的な保育士不足の問題は解消されません

保育士不足が解消されない背景にはさまざまな要因がありますが、主な要因としては以下が挙げられます。

  • 保育士の給与が他の職種に比べて低い
  • 一人当たりの業務の幅が広くマルチな対応が求められ、業務負担が多くなりやすい
  • 役職が少なく昇進による給与の増加も難しく、勤務年数が増えても仕事に見合う給与を得ることが難しい
  • 保育士の資格を取得していても保育士として働くことを選択しない「潜在保育士」が多数いる

このような背景にある問題を解消すべく、処遇改善手当が導入されました。

処遇改善等加算には2つのタイプがある

処遇改善手当にあたる処遇改善等加算には2つのタイプがあります。

それぞれを具体的にまとめました。

処遇改善等加算Ⅰ

処遇改善等加算Ⅰは、経験年数に基づく給与のベースアップおよび賃金改善を図る加算。
基礎分・賃金改善要件分・キャリアパス要件分の3つで構成されていることが特徴です。

基礎分:一人あたりの平均した経験年数に応じた待遇の改善が行われます。

賃金改善要件分:基準年度から賃金改善を実施し、賃金改善計画書および賃金改善実績報告書を提出している施設に加算が行われます。

キャリアパス要件分:職務内容に応じた勤務条件と賃金体系の設定や計画に沿った研修の実施もしくは研修機会の確保、職員への周知が必要。適用となる対象者は全国で働く保育士です。

正規雇用の保育士だけでなく、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する非正規雇用(パート・アルバイト)の保育士も適用になります。

処遇改善等加算Ⅱ

処遇改善等加算Ⅱはキャリアパスと研修体制を整備し、それを通じて技能・経験を積んだ保育士に対する追加加算を行う制度。

保育士の役職は従来は限られたものになっていましたが、さまざまなキャリアパスを用意する観点から、処遇改善等加算Ⅱより副主任保育士、専門リーダー、職業分野別リーダー等の役職が追加されました。

役職に就く要件を下記にまとめます。

副主任保育士

約7年以上の経験を持つ職務分野別リーダーが、合計3分野以上の専門研修とマネジメント研修を修了する必要があります。

研修終了後に副主任保育士の発令を受けると昇格が可能。

処遇改善加算は月額4万円です。

専門リーダー

約7年以上の経験を持つ職務分野別リーダーが、計4分野以上の専門研修を修了する必要があります。

研修終了後に専門リーダーの発令を受けることで昇格が可能。

処遇改善加算は、副主任保育士と同様で月額4万円です。

職務分野別リーダー

約3年以上の経験を持ち、6分野の研修のいずれかを修了する必要があります。

研修を修了した分野に関して職務分野リーダーとして発令される役職。

処遇改善加算は月額5,000円です。

処遇改善手当の注意点

処遇改善手当にはさまざまなメリットがありますが、一方で本制度を利用する際の注意点もあります。

下記に注意点をまとめました。

必ずしも役職に就けない場合がある

新設された、副主任保育士・専門リーダー・職業分野別リーダーの役職については、要件を満たしたとしても必ずしも役職に就けない場合があります

なぜなら、各役職には施設ごとに人数制限があるため

具体的には、副主任保育士と専門リーダーは園長と主任保育士を除く保育士全体の概ね1/3、職業分野別リーダーは園長と主任保育士を除く保育士全体の概ね1/5とする決まりがあります。

そのため、たとえ要件を満たしていたとしても既に役職者が規定数に達している場合、役職に就けないことになります。

実際に受け取る支給額が異なる場合がある

処遇改善手当は施設がまとめて受け取り、職員に支給される仕組みになっています。

誰にいくら支給するかは施設側が調整するため、人によって支給額が異なる場合も。

施設によっては賞与としてまとめて支給されることもあるため、支給についてどのような運用が行われているかを事前に確認すると良いでしょう。

賃金改善に使用されていないことがある

本制度が運用されたことで、保育士の賃金は少しずつ改善されつつあります。

しかし、実際問題として賃金の上昇を実感していない人が多い現実も。

中には受け取った処遇改善手当を保育士に支給していなかったり、手当分だけ基本給を下げて調整しているケースも存在するようです。

2019年には、2016~2017年に度に支出された加算分のうち、約7億円が使用されていなかったという報道も。

処遇改善手当が適切に運営されているか、管理監督の必要性も指摘されています。

参照:日本経済新聞|保育士の賃金加算7億円使われず?会計検査院指摘

まとめ

これまで給与が低くキャリアパスも描きにくいと言われていた保育士の仕事。

本制度が導入されたことで給与の処遇の改善とキャリアアップの仕組みが整備されてきました。

制度は整いましたが、この制度を活かすには、働き手の側が制度の内容を把握しておく必要もあります。

制度を活かし、保育士として中長期的に働いていくプランを描くことが大切です。
 

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