2022年最新版|保育士の給与引き上げについて徹底解説!

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2022年2月より、看護や介護、保育現場で働く人々の給与の引き上げが実施されます。保育士さんからも「給与が上がるかも」と喜びの声が上がる一方、「本当にもらえるのか」「どれくらいもらえるのか」と不安な声も多数。そこで今回は、岸田政権による保育士の給与引き上げについて、現段階の情報で分かっていることについてまとめました。
※この記事は2022年1月26日時点の情報をもとに作成しています。内容は随時変更される可能性があります。

保育士給与引き上げの概要

岸田内閣総理大臣は2021年11月19日の閣議決定にて、看護や介護、保育現場で働く人々の給与の引き上げに対する政策を発表しました。

これは岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の経済対策の一環として打ち出されたものです。

保育士の給与引き上げに関する内容は以下の通り。

保育士等・幼稚園教諭を対象に収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を、令和4年2月から実施する。

出典:厚生労働省|「公的価格の制度について」

月額9,000円の引き上げとなると、年間にして108,000円もの給与アップが見込めることとなりますが、実はこの現状に現場は「期待半分、不安半分」といった声が多く広がっているのです。

給与が引き上げられる理由は?

岸田総理が保育士の給与引き上げに踏み切った背景には、保育士の報酬が仕事内容に比べて十分でないという課題があります。

<実際の保育士の声>

業務と給与が見合っていない気がする。

書類作成の業務がかなり多く、お昼寝の時間に対応していても1人でも起きたら子どもの見守りに移るため、時間が取れない。

コロナ禍で稼働している割には、給与明細を見たときにがっかりする。(年収例:250万円/2年目、250〜300万円/6年目)

基準通り配置しても保育士の数が足りない。

特に近年においては、コロナ禍におけるさまざまな対応や、保育園・保育士不足の解消のため、現在でも最前線で働いている保育士の重要性が再認識されました。

そこで岸田総理は、保育士を含めた看護・介護・保育・幼児教育など現場で働く方々の公的価格のあり方について、「公的価格評価検討委員会」を設置し抜本的に見直すことを発表したのです。

公的価格とは
公的価格(公定価格)とは、保育園を運営するにあたって必要であると国が定めた費用のこと。
事業主はこの費用を国から受け取り園を運営しますが、約8割が保育士の人件費に充てられています。
そのため公的価格が上がらない限り、人件費も上がりにくい仕組みとなっているのです。

給与引き上げとなる対象の人は?

今回の給与引き上げで対象となる人は、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員、看護職員

この対象には地域型保育事業などの公定価格の対象の事業所で働く方々、放課後児童クラブの職員、及び公定価格の対象でない私学助成を受ける幼稚園の教諭なども含まれます。出典:厚生労働省|「公的価格の制度について」

また2021年12月27日に岸田総理は、認可外保育園で働く保育士の給与引き上げも議論すると表明しています。出典:日本経済新聞|「認可外保育園も議論、保育士給与引き上げ 首相表明」

なおパート・アルバイトで勤務する保育士に関する給与引き上げに関しては、現段階では提言がされていません。
しかしこの政策は議論の段階にあるため、今後パート・アルバイトの給与引き上げに関する提言がなされる可能性はあるでしょう。

今後改善が急がれる課題とは

園側は保育士に絶対に9,000円を渡す義務がない

保育園の事業主は、国から受け取る公的価格の費用(委託費)のうち約8割を保育士の人件費を充てるとされていますが、実はこの枠組みに法的な規則はなく、自由に使っていいとされています。

このような弾力的運用が許容されていることから、ちゃんと保育士の人件費に還元する事業主もいれば、なかには金儲けを第一に考え保育士の給与に回さない事業主も

今回の給与引き上げも「必ず保育士に9,000円ずつ還元する」という規則がないことから、特に後者の場合、月9,000円の給与アップは実現されない可能性が高いでしょう。

こういった状況になることを防ぎ確実に保育士の給与を引き上げるには、国から受け取る委託費の用途に規制を設けるなどの取り組みが必要といわれています。

配置基準以上の保育士がいると厳しい現状

厚生労働省は年齢ごとの園児の数に応じて保育士の配置基準を定めますが、この配置基準は、保育業務を安全に行うには少なすぎるという指摘が相次いでいる現状。

そのため、配置基準の人員数よりも多く保育士を配置している園が多く存在します。

しかし、今回根本的に引き上げされることとなる保育園の公的価格の人件費分は、配置基準によって決められた職員数の分だけが計算される仕組み。

そのため、配置基準以上に保育士を設置しているからといって、人数分の人件費が加算される訳ではないのです。

<例>

30名規模の保育園で、国が定めた保育士の配置基準は4名以上。
しかし安全性確保のため、保育士は10名配置している。
しかし国からは、4名分しか給付されない。

つまりこの場合、全ての保育士に月9,000円ずつ給与を引き上げることは厳しい状況となります。

給与引き上げの政策について保育士の意見

今回の給与引き上げについて、現場の保育士さんたちの意見をまとめてみました。

9,000円とはいえ、少しでも進展があったことは嬉しい

これからの段階的な引き上げに期待したい

やっと具体的な政策が打ち出されたのは良いこと

あるのとないのとでは全然違う

本当に受け取れるか不安

9,000円は妥当な金額なのか疑問

給与よりも労働環境の改善を願う

結局税金が上がるのではないか?

現段階では政策の具体的な概要が発表されておらず戸惑う声が多い一方で、保育士の給与に関する問題解決の一歩が踏み出せたことへの期待を示す保育士も。

また配置基準の改定や国から保育園に渡される委託費に関する規則の設置を必要とする声も見られました。

今回打ち出された政策をきっかけに、保育士の給与や労働環境が少しでも改善されるのか、今後の動向に注目です。

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