お役立ち情報
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保育の現場で今、大きな関心事ともなっている発達障害児への対応。
発達障害の特徴を知り、適切な接し方を行うことや、保護者と連携し専門的なケアを受けることも大切です。
診断がされていない間は、保育園の中で「扱いにくい子ども」と捉えられがちですが、上手くいかず葛藤しているのは子どもも同じ。
保育士だからこそできる発達障害児への援助もあります。
まずは保育士として、発達障害をよく理解するところから始めましょう。
まず知っておきたいのは、「発達障害は診断名ではない」ということ。
発達障害というのは、
●注意欠陥多動性障害(ADHD)
●自閉症スペクトラム障害(ASD)
●学習障害(LD)
という3つの脳機能の障害に対する総称です。
3つの障害は、呼び名が違うようにそれぞれ違う障害。
そのため症状や行動の特徴なども異なります。
そのため3種類のうちどの障害を持っているかによって、保護者や保育士の対応も変わってくるでしょう。
しかし、その一方で
という共通点が存在します。
上記の共通点があるため、発達障害と一括りにされているという側面があるのです。
3種類の発達障害の中で最も数が多いのが、注意欠陥多動性障害(ADHD)です。
国内の子ども全体の約4%が注意欠陥多動性障害だといわれています。
25人に1人と聞くと多く感じますね。
男女比は3:1で、男児に多い発達障害です。
特徴としては、
などが挙げられます。
保育園生活に例えると、
・お集まりの間、座ってお話を聞くことができない
・給食やおやつの時間もじっと着席できない
・園行事に参加できない
・保育士の指示が通じない
・子ども同士の喧嘩やトラブルが多い
・遊びの中で怪我をすることが多い
などの特徴があります。
診断を受けていない小さいうちは活発な子どもとして見られがちですが、突発的な怪我が頻繁に続く場合は、特に注意して観察を続ける必要があるでしょう。
注意欠損多動性障害に次いで多いのが、自閉症スペクトラム障害(ASD)です。
国内の子どもの約2%が自閉症スペクトラム障害だといわれています。
男女比は4:1で、こちらも男児に多い障害です。
自閉症スペクトラム障害は以前、『自閉症』『アスペルガー症候群』の2つに分けて考えられていましが、現在は2つを合わせて自閉症スペクトラム障害と呼ばれています。
特徴としては、自閉症の
アスペルガー症候群の
といった、両方の特徴を併せ持っていることが挙げられます。
自閉症スペクトラム障害の子どもたちが一番苦しみやすいのが、まわりの空気や相手の感情を読みづらいということ。
保育士の意図が伝わりにくかったり、園生活のルールや流れを理解することが難しいのです。
そのため、園生活の中で、
・お友達の使っている玩具を黙って取ってしまう
・順番を待つことができない
・保育士が声をかけても意思疎通が困難
・感情を上手く言葉にできずお友達とのコミュニケーションが築けない
など、集団生活に支障をきたす場合も。
このように自閉症スペクトラム障害の場合、他者の意図やルールを理解することが苦手という特徴があるため、集団生活に溶け込めず苦労する子どもたちが多いのです。
学習障害(LD)は、先述した2つとは全く異なる障害です。
学習障害の特徴は基本的な読み書きや数字の理解に支障があるということ。
文字を読んだとき、または読み聞かせでお話を聞いたときなど、内容を頭の中で思い浮かべることを難しく感じる障害です。
主に学習面で大きな壁となり、小学校入学にしてから問題として顕在化することが多い障害です。
発達障害の早期発見について重要な役割を果たすのが、日々子ども達の集団生活を見ている保育士の視点や気付きです。
発達障害の特徴は、自宅で一緒に過ごす保護者にとってなかなか気付きにくいもの。
保育士による「なんとなく気になるかもしれない」という感覚は、発達障害の早期発見の鍵となり得るのです。
しかし「この子の様子が気になる」だけで終わってしまうと意味がありません。
早期発見は早期支援に繋がります。
保護者に伝える前に園長や主任にも話し、普段の様子を複数の保育士で確認することも大切です。
発達に関して「ちょっと気になるな」という子どもがいる場合、職員会議などで職員と情報を共有し、園として早期発見に努めましょう。
発達障害を抱える子どもがいる場合、保育士は個別的な関わり方を検討していく必要があります。
子どもが抱える困難を軽減し、よりよい環境を作るための工夫をしなくてはいけません。
「発達障害についてあまり知識が深くない…」
「発達障害児の保育経験があまりない…」
など、不安になる保育士さんは少なくありません。
知識・経験が豊富な保育士でも、発達障害の程度や特徴が違えば、一から接し方を考えなくてはいけません。
そのため、障害の特徴などや保育方法についてを学ぶ必要があるのです。
ひとくちに発達障害といっても、特徴の現れ方などには個人差があります。
発達障害やグレーゾーンの子どもの保育は、担任保育士だけでなく、保育園全体で連携を取りながら関わるようにしましょう。
保育園の保育士が全員常に同じ対応をすることで、子どもの安心にも繋がります。
例えば、「お昼寝したくない」と大の字になって叫んでいる場合
など色々な言葉掛けを実践してみて、最も効果があったものを保育士間で共有します。
保育士間で接し方や言葉掛けなどを統一することで、保育士も迷わずに子どもに対応できるようになるでしょう。
発達障害児の保育は試行錯誤が必要となります。
そこでおすすめなのが、PDCAサイクルです。
PDCAサイクルとは、
●Plan 知識を身につけ、援助の計画を立てる
●Do 援助を実践する(2~3週間)
●Check 実践した保育がうまくいっているか、また改善点がないかを検証する
●Action 対応の変更や改善を行う
という一連サイクルを繰り返すことです。
発達障害を抱える子どもの保育に必要なことは、
・たくさんの成功・失敗の体験を積み重ねること
・失敗例を踏まえて応用力を身につけること
に尽きるとも言えます。
トライ&エラーの積み重ねにより「この子に最も適した接し方は何なのか」が見えてくるでしょう。
発達障害の有無を判定できる年齢は、おおよそ3歳半前後からと言われています。
1~2歳の時点ではまだ判断が難しいのです。
判断が難しい年齢で受診しても、まだ様子見となるケースがほとんど。
子どもがまだ1~2歳の段階であれば、受診を勧めるのはまだ時期尚早かもしれません。
この段階では、保育士が今でできる援助を慎重に検討し、子どもの成長を安全に見守ることが重要です。
3歳半を過ぎた場合、園医による検診結果なども踏まえ、保育園側から保護者に専門機関の受診を勧める場合があります。
いざ保護者に専門機関の受診を勧めるとなった場合、保護者としっかり信頼関係を築いておくことが大切。
担任保育士に専門機関を勧められると、強く反発する保護者もいるためです。
しかし中には「薄々感じていた」「育てづらさで悩んでいた」という保護者もいます。
いずれの場合も保護者の気持ちを受け止め、しっかりと保護者の訴えに傾聴しましょう。
専門機関を受診しすでに発達障害と判明している場合は、個人差はあるものの保護者も障害を受け入れている段階です。
家庭と保育園で子どもへの接し方がバラバラにならないよう、保護者と情報共有しながら保育しましょう。
家庭と園の環境が近いほど子どもは安心します。
保護者が子どもの発達障害を受け入れていることで、できる援助の幅も広がるのです。
保護者・保育園・専門機関の3カ所で連携を取り、子どもがよりよい環境の元で過ごせるように、共に援助していける環境が何より大事です。
もし受け持ちの子どもの中に「発達障害かもしれない」子どもがいたら、保育士は何ができるでしょうか。
「この子のためにどうしてあげるのがベストなのか?」と色々考え込んでしまうかもしれません。
発達障害児の援助は担任保育士だけで進めることなく、園全体で統一して取り組むのが鉄則。
保育士によって接し方や声の掛け方が違うだけでも混乱させてしまい、子どもが苦しい思いをするためです。
発達障害児にとっても保育園が過ごしやすい場所になるように、園全体とご家庭で協力し合い、子どもたちにとって安心できる場を提供するようにしましょう。
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