お役立ち情報
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保育士実技試験の「言語」にも組み込まれている『素話』は、保育士にとって必要なスキルです。素話は子どもの想像力を養うために重要な技法ですが、「素話が苦手…」という保育士は少なくありません。今回は、そんな素話を保育で行うねらいや素話をする際のポイントなどについて解説します。
■目次
素話(すばなし)とは、絵本や紙芝居などの道具を一切使わずに、子どもたちの前で話すお話のことです。
そのため、話し手となる保育士は、題材となる物語を一度自分の中に落とし込む必要があります。
そして、自分独自の世界観を伝えるために、声色や言葉を工夫しながら語り聞かせます。
ただ単に、物語を丸暗記してお話すれば良いというわけではないのです。
素話の題材としては、童話や日本昔話などが一般的です。
絶対にこれを素話にしないといけない!という決まりはないため、子どもたちが好きな話を素話として聞かせてあげると良いでしょう。
保育で素話を行うねらいは、以下の点が挙げられます。
●多くの言葉に触れ、言語力を身につける
●集中力や想像力を養う
●素話を通して、保育士や友達とコミュニケーションを取る
子どもの発達において、言葉は非常に重要です。
特に乳幼児期は、大人が話す言葉を聞いたり、自分で使うことで言語力を身につけていくため、素話を通して、物の名前や言葉の言い回しなどを学ぶことができるでしょう。
また、素話は絵本や紙芝居などの道具を一切使わないことから、子どもたちは保育士の話を集中して聞くことになります。
それゆえに、集中力や想像力を養うことにつながります。
加えて、月齢の低い未満児には、美しい日本語を聞かせるためにも、日本語の美しい響きを楽しめるような題材にすると良いでしょう。
子どもたちを惹きつけるような素話をするために、以下のポイントを押さえながら練習してみましょう。
まずは、題材となる物語の絵本や動画を繰り返し見て、自分の中に落とし込むことが重要です。
ここで大切なことは、なるべく自分の言葉で語れるようにするということ。
また、途中で詰まってしまったりすると、子どもたちの集中力が切れてしまうこともあるため、うろ覚えも危険です。
多少セリフや順番が違っても、子どもたちに分かりやすく伝えられるかがポイントとなります。
素話をするときは、子どもが言葉だけで物語を理解できるように、ゆっくりと話すことを心がけましょう。
素話は絵本や紙芝居などの読み聞かせとは異なり、自分の言葉でお話するため、普段話すようなテンポになりがちです。
テンポが早すぎてしまうと、子どもが物語についていけなくなってしまいます。
聞き取りやすいテンポ、かつ大きな声で話すことが大切です。
素話では、声色にメリハリをつけて物語を展開していきましょう。
絵本や紙芝居がない分、最初から最後まで同じトーンでは子どもは退屈してしまいます。
登場人物によって声色を変えたり、声の大きさを変えたり、クライマックスに向けて声を大きくしたり…
工夫をすることで、子どもを物語に惹きつけることができます。
素話は、視覚的に楽しめる道具がないゆえに、子どもの集中力が切れることがあります。
そのため、素話をするときは、子どもが集中できるような環境づくりが大切です。
例えば、保育士の後ろは壁にして注意が他に向かないようにしたり、物語によって部屋を暗くしたり、場所を変えたりしてみたりしてみましょう。
同じ物語でも保育士の話し方や環境が変われば、子どもは飽きずに楽しんでくれます。
また、活動の前など、子どもに集中してもらいたいときに、素話を組み込むのもおすすめです。
子どもの言語力や想像力、集中力を養うのに役立つ素話ですが、実は保育士にとってもメリットがあります。
保育士にとっての素話のメリットは、以下の通りです。
素話は道具などが不要であるため、ちょっとした時間があった際すぐに始めることができます。
最初は物語を覚えたり、お話の工夫の仕方に慣れたりするのに時間が掛かってしまうかもしれません。
ですが、一度作り上げてしまえば、子どもたちが喜ぶ保育を場所問わず行うことができます。
短い物語から長い物語まで、レパートリーを増やしつつ楽しいお話を子どもたちに提供できるため、新人保育士にもおすすめです。
お昼寝の時間になっても、なかなか寝てくれない子もいるでしょう。
そんなときは素話をしてあげると、スムーズに寝かしつけを行うことができます。
子どもが目をつぶっている状態で素話をすることで、ストーリーの中に惹き込まれていつの間にかすやすやと眠っている、なんていうこともあるのではないでしょうか。
子どもの反応を見ながら物語を展開していけるのも素話の特徴ですが、最初のうちは話し方やテンポなど、手探りの状態から始まることになるかもしれません。
ですが、保育の中で素話を繰り返し行っていくうちに「こんな風に話せば、楽しんでくれるんだな」と、子どもの反応を理解できるようになっていきます。
表現が次第に上手になり、保育士としてのスキルアップにもつながるはずです。
保育士の中には、素話の題材選びに悩む方もいるのではないでしょうか?
素話の題材を選ぶ際は、以下のポイントを参考に選んでみましょう。
上記のポイントを踏まえたうえで、以下では、素話におすすめな題材を紹介します。
『はだかの王様』は、アンデルセン童話の中でもコミカルな内容で子どもからも人気な作品の一つ。
おしゃれが好きな王様が”賢い人にしか見えない服”を着て街中をパレードしますが、正直な子どもの言葉によって正直に生きることの大切さを知るというお話です。
思わず笑ってしまうようなシーンが多くあり、聞いている子どもたちも楽しんでくれること間違いなしです。
出典:amazon.co.jp
『赤ずきん』は、グリム童話の中でも有名な作品です。
森で出会ったオオカミにだまされ、赤ずきんとおばあさんは食べられてしまいましたが、最後は猟師に助けられるというお話です。
このお話は、起承転結が分かりやすいため、特に「素話が苦手…」という保育士や新人保育士におすすめの題材です。
出典:amazon.co.jp
『3匹のこぶた』は、イギリスの昔話です。
こぶたの3兄弟がそれぞれ家を建て、やってきたオオカミを、最後は3匹で力を合わせて退治するというお話です。
繰り返しの展開があり、子どもたちを惹きつけやすいといえます。
また、性格が異なる3匹のこぶたと怖いオオカミといったキャラクターは、比較的声色の演じ分けがしやすいかもしれません。
出典:amazon.co.jp
日本昔話でおなじみの『鶴の恩返し』は、人間に助けられた鶴が正体を隠して美しい布を織るという民話です。
このお話には、約束を破ってはいけないという教訓が込められています。
また、相手を思いやることの大切さを教えてくれ、子どもにとって良い学びの機会にもなるでしょう。
出典:amazon.co.jp
『一寸法師』も、日本昔話でおなじみの民話ですね。
小さい一寸法師が鬼退治をし、打ち出の小槌で立派な青年になるというお話です。
このお話では、人より劣っていても努力や勇気によって幸せをつかみ取れることを教えてくれます。
出典:amazon.co.jp
素話を保育に取り入れれば、日頃の保育の幅が広がります。
子どもたちの集中力や想像力、コミュニケーション能力が高まり、お話を聞くのが楽しくなってくるのではないでしょうか。
また、保育士自身の表現力も身につき、スキルアップにもなるでしょう。
子どもたちと素話を通して、楽しい時間を過ごしてくださいね。
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