保育業界のICT化とは?ICT化のメリット・デメリットも紹介

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昨今、保育業界においてICT化が推進されているのことをご存知でしょうか。ICTの導入により、業務がスリム化され保育士の負担軽減になるなど、労働環境の改善が期待されています。今回は、そもそもICTって何?という疑問から、ICT化によるメリット・デメリットについても解説します。

保育業務のICT化ってどういう意味?

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、日本語では情報通信技術と訳されます。

・Information → インフォメーション(情報)

・Communication → コミュニケーション(伝達・意思疎通)

・Technology → テクノロジー(技術)

似た言葉に「IT」がありますが、こちらは「Information Technology」の略となり、情報技術そのものを指します。

ITにコミュニケーション(C)をプラスしたものがICTとなります。
身近な例で例えると、SNS上でのやり取り・メールでのコミュニケーション・ネット通販 ・チャットなども、ICTの活用例に該当します。

では、ICTが実際どのように保育業務に活かされているのでしょうか。

具体的にはパソコン・タブレット・スマートフォンなどを使い、

  • 保育記録の入力や書類作成
  • 児童の登降園管理
  • 各種情報の閲覧・共有

などを行うことで、保育士の業務負担を軽減させることが主な目的です。

近年では多くの保育園用のICTシステムが開発・提供されおり、国や各自治体でも補助金の交付により保育園へのICTシステム導入を推進しています。

出典:厚生労働省|2020(令和2)年度 保育関係予算概算要求の概要

 

保育園用のICTシステムでできること

ここでは、保育園用のICTシステムで何ができるかについて詳しく解説します。

【情報管理や事務作業の効率化】

園児の情報管理

園児の生年月日・家族構成・アレルギーなどの基本情報のほか、保育園で測定した発育の推移などの情報も管理・共有できます。

過去の履歴もチェックすることも可能です。

登降園時間は保護者がタブレットなどに記録することで、保育士が転記する手間も省けるでしょう。

保育士の出勤・シフト管理

保育士の出退勤時間やシフトなども管理することができます。

残業時間などもひと目で分かるので、オーバーワークの防止にも繋がるでしょう。

シフト作成は複雑な作業でもあるため、人員配置を設定して自動作成できるようにすることで、かなりの作業軽減が期待できます。

指導計画案や保育日誌の作成

指導計画案が一覧で確認でき、過去の計画をテンプレートとして新しい計画案を作成することもできます

保育日誌も、日付・クラスごとの出欠などの項目は自動反映されるため、簡単に記入できるようになっています。

【保護者との情報共有に役立つ】

園児の欠席や遅刻などの連絡

子どもや保護者自身の急な体調不良や急用などの際、保護者はスマホを利用し、欠席・遅刻・早退・延長保育利用などの連絡をすることが可能です。

電話連絡の場合、忙しい時間帯は電話が繋がりにくいことも。
さらに何度も園へ電話をかけ直すのは保護者にとって負担となります。

スマホアプリであれば、保護者は都合のよいときに連絡できるうえ、保育士も確実にチェックすることができます。

連絡帳の記入

タブレットなどを利用して連絡帳を記入し、園児の様子を保護者へ送ることができます。

音声入力に対応している専用アプリもあるため、入力に不慣れな保育士でも、簡単に文章を入力することが可能です。

園だよりの配信

園だよりをペーパーレスで配信したり、園の行事カレンダーなども保護者と共有することができます。

また園から保護者へ一斉連絡することができるため、災害時や予定変更などの緊急連絡にも役立ちます。

保護者の「既読・未読」も一斉に確認できるため、保護者への伝達漏れを正確にチェックできますね。

保育業務におけるICT化のメリット

ICT化することで、保育の現場にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

保育士の労働環境が改善される

ICTシステムの導入により、書類作成などさまざまな業務の効率化が図れます

厚生労働省の調査結果でも、ICT導入前と後の保育士の書類作成時間に、差異があることが分かります。

出典:厚生労働省|令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究

上記は一例ですが、特に子どもの記録と連絡帳の記載時間が大幅に短縮していることが分かりますね。

業務が効率化し、子どもたち一人ひとりと触れ合う時間が増えるというのが、ICT化のメリットです。

保育士の人手不足の解消が期待できる

保育士が離職してしまう主な理由のひとつとされているのが、業務量の多さです。

東京都の調査では、退職したいと考えている現役保育士のうち、61.9%が「仕事量が多い」ことを理由としています。

ICT導入により業務がスリム化することで、保育士の仕事時間削減に繋がります

保育業務のICT化は、保育士不足の解消も期待できるでしょう。

保護者の負担軽減が期待できる

保護者にとって、毎朝子どもの体調観察・検温をし、連絡帳に記入して保育園に提出するのは、意外と手間となるのです。

連絡帳を家に忘れてきてしまった!なんてことも。

スマホで入力することで、記入や提出の手間が省けるほか、連絡帳を忘れてしまい口頭で保育士に伝える負担もなくなります。

保護者の「朝の忙しさ」の軽減も期待できるでしょう。

保育業務におけるICT化のデメリット

保育士が機能に慣れるまで時間がかかる

多くの機能が充実している保育園用ICTは、保育士が操作に十分に慣れてから導入する必要があります。

操作に慣れないうちに突然システムを切り替えてしまうと、保育士が混乱してしまい作業を増やしてしまう場合も。

まずは、保育士がICTシステムに慣れるための試用期間を十分に取ることが必要です。

インターネット環境の整備が必要

インターネット環境が整っていない場合、

  • インターネット回線の速度が遅い
  • 場所を移動しないとネット環境に繋がらない

など、システムのデータ送信がうまくいかないことも。

ICTを導入するためには、まず園内のインターネット環境を整備することが必須です。

保護者の理解と協力を得る必要がある

今まで保育士と手書きでやり取りしていた連絡帳が、突然機械化することによって、

  • 手書きならではの温かみが感じられない
  • 機械的な対応は冷たく感じる

など、抵抗を感じてしまう保護者もいるかもしれません。

事前にICTの使い方や長所を保護者にしっかりと伝え、理解と協力を得たうえで導入することが望ましいでしょう。

まとめ

保育士にとってメリットが大きいものの、課題もあるICTの導入。

しかし、すでに導入している保育園では保育士の事務作業時間が大幅に短縮していることも事実です。

メリットが大きいことは確かですが、保育士の試用期間をしっかり取る、保護者への説明は事前に十分に行う、などの手順をふまえないとかえって負担になることも。

しっかりとした準備ののち導入することで、ICTは保育士と保護者のコミュニケーションをより身近で便利なものにしてくれるでしょう。

 

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