保育に必要なリスクマネジメントとは?重要性と対策について

更新日:

リスクマネジメントは一般企業で取り入れられているイメージが強いですが、実は保育園においても非常に重要です。子どもを守ることはもちろん、社会的信頼を保つ役割があります。リスクマネジメントは、きちんと管理することが大切。今回は、保育に必要なリスクマネジメントについて、その重要性と対策について解説します。

そもそもリスクマネジメントとは?

リスクマネジメントとは、常に最悪の事態を予測し、その被害を未然に防ぐもしくは最小限に抑えるための対策を考え、管理することです。

一般企業においては、事業の存続や経営目標達成のための一つの方法として重要視されています。

保育業界で見てみると、コロナの影響もあり、多くの保育園でさまざまな危機対策が取り入れられています。

信頼関係で成り立つ保育業界において、リスクに対する備えは万全である必要があるのです。

保育になぜリスクマネジメントが必要なの?

保育でリスクマネジメントが必要な理由は、以下の2点が挙げられます。

子どもの安全を守る

保護者との信頼関係を保つ

前述でも述べたように、保育業界は保護者をはじめとする社会との信頼関係で成り立っています。

例えば、万が一の事故や損害が生じた場合、その保育園は社会的信頼を失うだけでなく、最悪の場合、閉園になる可能性も。

常に事故やケガのリスクを予想し備えておくことで、子どもの安全や保育園に対する保護者の信頼を保つことができるのです。

保育園におけるリスクマネジメントの実践方法

ここでは、保育園で実践できるリスクマネジメントの方法について説明します。

PDCAサイクルを回す

リスクマネジメントを実施する上で必要なものは、「PDCAサイクル」です。

PDCAサイクルとは、計画から改善のサイクルを継続的に繰り返すことを言います。

PDCAサイクルを作成し、定期的な見直しと改善をすることで、さまざまなリスクを最小限に止めることができます。

  • P=Plan(計画):対策を練る
  • D=Do(実施):対策の実施
  • C=Check(確認):対策の効果を確認
  • A=Action(行動):対策の評価と改善

 

PDCAサイクルに当てはめて作る

では、実際にPDCAサイクルに当てはめて作成してみましょう。

PDCAサイクルは、作成して終わりではなく、定期的に見直しを行い改善し続けていくことが大切です。

新たなリスクが見つかった場合も、都度追加していきましょう。

STEP1:事故やケガ、トラブルを振り返る

まずは、保育園で実際に起きた事故やケガ、トラブルについて振り返りましょう。

日頃から子どもの事故やケガが発生した際の記録を取っている場合は、Excelなどを使用して、過去のデータと比較しましょう。

可能であれば、この1年間と過去3年間のデータがあるとよいですね。

このデータの比較で「どの月に何のケガが多いのか」「ケガの原因は何が多いのか」などの特徴や傾向が分かり、そのための対策を考えることができます。

あわせて、ヒヤリハットをデータ化し情報収集をするとよいでしょう。

STEP2:STEP1で計画したことを実施する

ここでは、STEP1で計画した対策を実施します。

例えば、子どもの誤飲に関する対策であれば、保育士は常に床に物が落ちていないか注意する・子ども達の行動を予測して定期的に清掃などが実施できますね。

ここでの実施期間は、一定期間継続することが重要です。

STEP3:実施後に振り返る

対策を実施した後は、対策の効果を確認するため、振り返る必要があります。

効果があった対策については、STEP4でルール化したりマニュアルに加えましょう。

STEP4:ルール化やマニュアル作成

STEP2で効果があった対策をルール化したりマニュアルに書き加えます。

マニュアル作成する際は、保育施設の職員全員が把握できるよう言葉と図・写真を入れ、分かりやすくすることがポイントです。

チェックリストなどを作成し、保育室の壁に貼っておくのもよいでしょう。

保育園で事故やケガにつながりやすい事例

内閣府によると、2020年の保育施設などの事故報告件数は1,586件と発表しています。
参照:内閣府|令和2年教育・保育施設等における事故報告集計の公表について

こうした事故やケガを未然に防ぐためには、事前にどのようなことで事故が起こりやすいのかを把握しておくことも大切です。

以下では、一歩間違えれば保育園で事故やケガにつながるかもしれない事例についてまとめました。

自分だったら、どのような対策を取るかを考えてみましょう。

①転落や転倒
・すべり台の上で子ども同士が押し合い、落ちそうになった
・子どもの靴ひもがほどけてしまい、靴ひもを踏んで転倒しそうになった
②衝突
・前を見ずに走っている子どもが、遊具にぶつかりそうになった
・製作活動中、子ども同士の間隔が近く、身体がぶつかりそうになった
③誤飲
・おもちゃの部品が取れてしまい、口に入れそうになった
・床に落ちているごみを口に入れそうになった
④食物アレルギー
・アレルギーを持った子どもに、誤って該当する食物が入ったご飯を配りそうになった
・小麦粉アレルギーの子どもが小麦粉粘土を触りそうになった
⑤睡眠中に起こる事故
・鼻が詰まっていて息がしづらそう
・寝相が悪く、うつぶせ寝してしまいそうになった
⑥やけど
・給食の配膳中、熱い鍋を触りそうになった
・ストーブに足が触れそうだった
⑦プールなどでの水遊び中の事故
・プールサイドから足を滑らせてしまい、プールに落ちてしまった
・子ども同士の水のかけ合いをしていて、水をたくさん飲んでしまった
⑧散歩など園外活動中の事故
・走り回ることに夢中で、公園の外に出て行ってしまいそうになった
・子ども達が手を引っ張りあって、転倒しそうになった
⑨保育園付近の不審者
・知らない人が保育園の周りを何度も歩いていた
・公園での散歩中、知らない人が声をかけてきた
⑩その他保育中の事故
・ビニール袋を頭から被りそうになった
・製作中にはさみでケガをしそうになった

保育士が気をつけること

情報共有を徹底する

リスクマネジメントを行う際は、保育園全体で取り組むことが大切です。

そのためには、リスクの大きい小さいに関わらず、職員全員に情報共有をすることが欠かせません。

定期的に情報共有のためのミーティングを設けるなど、一丸となって子ども達の安全を守りましょう。

子どもへの注意喚起

大人だけでなく、子どもへも同じように注意喚起する必要があります。

その際は、伝え方を工夫しましょう。

口頭だけではなく、分かりやすいイラストを用いたり、絵本を活用するのもおすすめです。

子ども一人ひとりに「これは危ない」という意識を持たせることが保育士の大切な役割でもあります。

子どもから目を離さない

保育活動中は、目を離さないようにしましょう。

保育士同士で話すとき、保護者と話すときなど、子どもから一瞬でも目を離したすきに起こる事故は多いです。

少し離れるときは、他の保育士に声をかけるなどをして、大人が子どもを見ていない状況を作るのはやめましょう。

まとめ

保育園におけるリスクマネジメントは、子どもを守ることはもちろん、社会的信頼を保つ上でも非常に重要です。

何が起こるのか分からない保育園であるからこそ、どんなリスクにも備えておく必要があります。

この機会に、保育園でのリスクマネジメントについて見直ししてみましょう。

 

保育士さんの転職サポートは【保育求人ラボ】


【保育求人ラボ】は専門のアドバイザーがあなたに合った保育園・幼稚園の求人をご提案させていただきます。ご不安な点やご希望などしっかりとヒアリングさせていただき、サポートさせていただきます。まずはお気軽にお問い合せください。

お電話で無料お問い合わせ 簡単!Webで無料お問い合せ

Instagramにてお役立ち情報更新中!
フォロー・いいね・コメントよろしくお願いします♪