お役立ち情報
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大きな地震や火災が相次ぎ、避難訓練の重要性に注目が集まっています。特に保育園で行われる避難訓練は、緊急時に子どもたちの命を守るための大切な土台となります。適切な訓練を繰り返し行うことで、子どもたちはもしものときにも冷静に行動し、的確な対応ができるようになるのです。そこで今回は、保育園における避難訓練について解説します。保育園では月に一度実施される行事ですが、改めて避難訓練のねらいや方法、子どもへの分かりやすい伝え方を確認してみましょう。
■目次
避難訓練は、実際の災害を想定し、安全に避難できるようにするための非常に大切な行事です。
訓練を重ねることで、災害への意識を高めることができます。
災害はいつ起こるか分からないため、定期的に訓練をしておく必要があります。
そんな避難訓練には、子ども・保育士・保護者と3つの立場それぞれに“ねらい”があります。
子どもからみたねらいは、以下の点が挙げられます。
●いかなる状況でも保育士の指示を聞き、安全に避難できるようにする
災害が発生すると、大人でも冷静さを失い、パニックに陥ることが少なくありません。
避難訓練を継続的に行うことで緊急時の対応を身に付け、万が一の際にも冷静に対応できるようになります。
保育士は年齢に合わせた避難方法を考え、繰り返し行い、子どもたちがどのように行動すべきかを伝えていくことが大切です。
保育士からみたねらいは、以下の点が挙げられます。
●実際の災害が起きた場合でも、冷静な判断ができるようにする
●適切な指示を出す
●避難訓練を繰り返し行い、避難時の問題を把握・改善をしていく
いざというとき、保育士は子どもたちの命を守る責任があります。
いかなる状況であっても、冷静な判断と正しい指示出しができるよう、日頃から訓練しておくことが大切です。
また避難訓練で見えた問題点をきちんと把握し、改善案を考えて、さらなる安全策を生み出していくことも重要です。
保護者からみたねらいは、以下の点が挙げられます。
●災害発生時、保育園との情報共有を円滑に行い、パニックを防ぐ
保育士が子どもたち全員を保護者へ安全に引き渡しをするためには、以下の情報を明確にし、あらかじめ共有しておく必要があります。
また、電話回線などのライフラインが遮断されてしまった場合の対策についても、決めておくと安心です。
保育園で避難訓練を行う際は、事前に準備しておく必要があります。
まずは、想定される災害を明確にし、計画を立てることが重要です。
災害によって、訓練する内容は異なります。
あらかじめ計画を立てておくことで、実際の災害発生時でもスムーズに対処することができるでしょう。
前述の通り、災害によってその訓練内容は異なります。
避難訓練の計画をしっかりと把握するためにも、保育士の中で役割を決めておくことが大切です。
役割が決まったら責任者を中心に、どんな災害か・どのような訓練をするか・その訓練に備えて何を用意するか、といったことを記載した災害別のマニュアルを作成しましょう。
避難訓練当日にそのマニュアルを活用することで、進行もスムーズにできます。
実際に災害が起きた場合を想定し、備蓄や防災グッズをあらかじめ備えておきましょう。
防災グッズをまとめたリュックサックを用意し、取り出しやすい場所に置いておいたり、保育士全員が保管場所を把握しておくことも大切です。
0歳〜6歳児の異年齢の子どもたちを預かる保育園では、一般的な防災グッズのほかにも、おむつやおしりふき、哺乳瓶などの子どものケア用品も揃える必要があります。
また年齢によっても必要な防災グッズは異なるため、防災グッズリストを作成し、何が必要かを確認しておくと良いでしょう。
>>>あわせて読みたい「保育園の災害時に必須!用意すべき防災グッズのチェックリスト」
避難訓練は、子どもたちに災害から身を守ることの大切さを伝えるための機会でもあります。
子どもたちがきちんと理解できるよう、保育士は分かりやすく伝えることが大切です。
避難訓練を子どもへ分かりやすく伝える方法は、以下の通りです。
災害にまつわる絵本や紙芝居を用いた読み聞かせは、非常におすすめの方法です。
口頭だけでは子どもたちも想像がしづらく理解が難しいですが、イラストや優しい言葉は、子どもたちにも分かりやすく伝わります。
また、絵本や紙芝居はストーリー性があるため、しっかりと防災に関する知識を身に付けられます。
>>>あわせて読みたい「【防災の絵本】年齢別!読み聞かせにおすすめの絵本8選」
保育士が演じる簡単な劇を行うのもおすすめです。
保育士が園児役になり、災害が発生した場合に取るべき行動を子どもたちの目の前で行います。
物語は、保育士がオリジナルで作り、子どもたちに伝えたい内容を盛り込みましょう。
劇の途中で子どもたちに「こんなときはどうすればいいかな?」といった声掛けを取り入れて参加してもらえば、子どもたちも理解を深めることができます。
保育園での避難訓練の方法について、ケース別に紹介します。
日本に住んでいる以上、必ず起きる災害の一つが地震です。
地震の避難訓練の方法は、以下の通りです。
●机やテーブルの下に隠れる
●頭を隠す
●避難経路を確保する
●ガスの元栓を閉める
揺れを感知したら、いち早く子どもたちを机やテーブルの下に隠すよう指示を出し、身体の一部が隠すものから出ていないかを確認します。
また、地震によりドアが開かなくなることもあるため、早めにドアや窓を開けて避難経路を確保することが大切です。
避難する際は、割れたガラスなどが落ちていることを想定し、必ず靴を履くようにしましょう。
火災の避難訓練の方法は、以下の通りです。
●火元を確認
●煙を吸わないよう、ハンカチやタオルで口元を押さえる
●火が広がらないよう窓を閉め、電気を切る
火災の場合は、慌てて保育室の外に飛び出すのではなく、出火元を確認したうえで行動することが大切です。
出火元の場所によって避難経路は変わってくるため、避難経路を確保するためにも、想定される火元は全て洗い出しておくと良いです。
また、常日頃から子どもたちにハンカチやタオルを持ってくるよう声掛けを徹底しましょう。
台風や洪水などの水害は、天気予報や警報などである程度は予測ができるため、地震や火災と比べて対策がしやすいといえます。
安全なうちに子どもたちを引き渡せるよう、状況によっては早めに保護者へ連絡するなどの対策を取りましょう。
また、海や川の近くに住んでいる場合は、地震の影響で発生する津波への対策も必要です。
万が一子どもが保育園にいる状態で水害が起きた場合は、高い場所へ移動したり、停電に備えて懐中電灯を用意するといった対策が必要になります。
各自治体からハザードマップが公開されているため、事前に確認しておきましょう。
不審者が来た場合の避難訓練は、以下の通りです。
●鍵がかかるような安全な場所へ、子どもたちを移動させる
●子どもたちにおしゃべりは絶対にしてはいけないことを伝える
●警察に通報する
保育園の門は施錠されているため、出入りできる人は限られますが、絶対に侵入できないとは言い切れません。
多くの保育園では、不審者が侵入した際の合言葉が決められており、放送で流すことで知らせるような仕組みができています。
また、不審者への対応について子どもたちに説明するための「いかのおすし」と呼ばれる標語があります。
あわせて子どもたちに伝えましょう。
●「い」「か」・・・行かない
●「の」・・・乗らない
●「お」・・・大きな声で叫ぶ
●「す」・・・すぐに逃げる
●「し」・・・知らせる
>>>あわせて読みたい「【保育園の防犯対策】園でできることや保育士が取り組めること」
保育士が行うべき避難訓練のポイントは、以下の通りです。
子どもたちを集めた際は、持っている児童名簿と子どもの顔を確認し、全員いるかの確認を行いましょう。
逃げ遅れた子どもがいないかを確認するための目安にもなるため、人数確認は非常に重要です。
子どもたちに「いつも手をつないでいるお友達はいる?」と確認するのもよいでしょう。
災害発生時は、保育士同士の連携が必要不可欠です。
特に避難訓練は、保育士同士で決めた役割や避難経路、災害が起きたときの行動について改めて確認をしたり、より良い改善案を出し合う機会にもなります。
保育士全員が共通認識を持てるよう情報共有は徹底し、避難訓練後は反省会の時間を設けることが大切です。
特に乳児クラスは、抱っこで子どもたちを移動させたり、ベビーカーに乗せたりしなければなりません。
そのため、ほかの年齢のクラスよりも避難に時間がかかってしまうことが想定されます。
自分のクラスの安全が確認でき、避難が完了したら、ほかのクラスを助けに行きましょう。
保育園での避難訓練は、児童福祉法により月に1回以上の実施と定められています。
一概に避難訓練といっても、さまざまな災害が予想されます。
どれか一つに偏るのではなく、どの災害が起きても落ち着いてきちんと対処できるよう、訓練することが大切です。
「訓練だから」と気を抜かず、常日頃から意識して備えておきましょう。
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