保育士が知っておくべき子どものADHD!その特徴や接し方は?

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ADHDの子どもへの接し方に悩む保育士は多いのではないでしょうか?ADHDは、子どもの20人に1人が生じるといわれてる発達障害の一つ。ADHDの行動の特徴から、周囲の誤解を受けてしまうことも多いです。今回は、保育士が知っておくべき子どものADHDの特徴や接し方について解説します。

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、年齢や発達に伴う行動に遅れが見られ、学業や日常のコミュニケーションなどに支障をきたす障害のことです。

主に、不注意(注意力に欠けている)や多動性(落ち着きがない)、衝動性(思いつきで行動してしまう)といった症状が見られます。

子どもの発達過程で障害が現れる発達障害の一つであり、ADHDの場合、7歳前後に症状が明確になることが多いようです。

ADHDの3つのタイプと症状

ADHDは、前述でも述べたように、不注意や多動性、衝動性といった症状が見られるのが特徴です。

症状の現れ方は人によって異なり、主に以下の3つのタイプに分類されます。

①不注意が目立つタイプ
不注意が目立つタイプの主な症状は、以下の通りです。

集中力が持続できない
忘れ物が多い
気が散りやすい
好きなことには集中しているが、他の作業への切り替えが難しい
ミスが多い
…など
②多動性・衝動性が目立つタイプ
多動性・衝動性が目立つタイプの主な症状は、以下の通りです。

落ち着きがない
じっとしていることが苦手
感情や欲求のコントロールが苦手
ルールや順番を守れない
他の人の邪魔をする
…など
③混合タイプ
混合タイプは、不注意と多動性、衝動性の症状を併せ持つタイプです。
ADHDの子どもの多くは、この混合タイプに当てはまるようです。
主な症状は、以下の通りです。

忘れ物が多い
じっとしていることが苦手
感情のまま行動してしまう
ルールや順番を守れない
…など

ADHDの原因

ADHDの原因については、まだ明確には分からないとされています。

ですが、生まれつきの脳の働きに偏りがあることや遺伝的要因が関係していると考えられています。

決して、家庭のしつけや育て方によるものではありません。

保護者の中には「自分の育て方が悪かったのだろうか」と悩まれる方も多いため、そうではないことを伝えるのも保育士として大切な役割です。

【年齢別】ADHDの子どもの特徴

年齢別によるADHDの子どもの特徴は、以下の通りです。

0~1歳児

言語や認知、学習といった能力が未発達である乳児は、ADHDの症状が分かりやすく出ることはありません。

そのため、生まれてすぐにADHDと診断されることはないです。

子どもが成長し、ADHDだと診断された人達の中には、乳児期を振り返ると「なかなか寝付かない」「寝返りが多く、落ち着きがない」「抱っこを嫌がる」といった特徴が見られる場合があるようです。

ですが、これらの行動は一般的な成長過程でもあるため、同様の行動が見られたからといって一概にADHDだと関連付けることは難しいといえます。

2~5歳児

ADHDの症状が現れるのは、小学校入学までの幼児期が多いです。

ADHDを持つ2〜5歳児は、成長に伴い、主に以下の行動が目立つようになります。

友達を叩くなどの乱暴をする

落ち着きがなく、じっとしていられない

我慢ができず、かんしゃくを起こすことが多い

物を壊すなど乱暴で破壊的な遊びを好むことがある

ルールや順番を守れない

…など

ADHDの子どもに対する保育士の接し方

ADHDの子どもを保育するとなった場合、どのように接したらよいのか悩む保育士も多いのではないでしょうか?

ADHDの子どもに対する保育士の接し方は、以下の通りです。

視覚的に伝える

何かを説明する際は、写真やイラストを用いて視覚的に伝えるのが効果的です。

特に集中することが苦手な子どもにとって、言葉だけでの説明や指示は分かりにくいことがあります。

絵を描いたり、ホワイトボードを活用するのも良いでしょう。

その際の言葉での説明は、具体的かつ簡潔にすることがポイントです。

その場ですぐに褒める

子どもが約束を守れたり、良い行動が見られたときは、どんなに些細なことでもその場ですぐに褒めてあげましょう。

子どもにとって、褒められることは嬉しいことです。

保育士が「褒める」ことを続けていくと、子どもはその行動を繰り返すようになります。

適切な行動をしたら、カードにシールを貼り、何枚か貯まったらご褒美をあげるなどのポイント制にするのもおすすめです。

自分が褒められた、ということを目で見て実感できるため、好ましくない行動を抑止することにもつながります。

興味・関心があることに目を向ける

ADHDの子どもは、周りが見えなくなるほど好きなことに集中する、という特徴があります。

子どもが興味・関心があることを導入に用いるのも有効な手段の一つです。

そのためにも、常日頃から子どもをじっくりと観察し、どんなことに興味や関心があるのかをチェックする必要があります。

また、保護者にも、家庭でどんなことをして遊んでいるのか、今何が好きなのかを聞いてみるのも良いでしょう。

活動にメリハリをつける

ADHDの子どもは、気が散りやすく、長い時間継続して集中することが苦手です。

例えば、みんなでお絵描きをする活動を行う際は、ADHDの子どもが集中できる時間に合わせて取り組み、適度に休憩を挟んだり、声をかけたりすると良いでしょう。

また、ADHDの子どもは、身体を動かすことが好きな子が多いです。

座る活動を行った後は、思い切り運動できるような活動を取り入れるなど、メリハリをつけるのがおすすめです。

子どもに合った環境作り

気が散りやすいADHDの子どもにとって、テレビがつけっぱなしだったり、玩具が散乱しているような環境は、刺激になってしまいます。

集中力を維持しやすい環境を作るためにも、カーテンやパーテーションなどを用いて刺激の少ない空間にする必要があります。

刺激が少なければ、気になる対象が減るため、子どもも集中しやすくなるでしょう。

ADHDの子どもに対して保育士が気をつけるポイント

ADHDの子どもの保育を行う際は、いくつか気をつけなければならないことがあります。

ADHDの子どもに対して保育士が気をつけるべきポイントは、以下の通りです。

注意をするときは叱らない

なかなか言うことを聞いてくれないとき、思わず「こんなことしちゃダメ!」「どうして分からないの!」と大きな声で叱ってしまうこともあるでしょう。

ですが、ADHDの子どもに強く叱ってしまうと、パニックを起こし、感情のまま暴れてしまうことも…。

まずは、子どもを落ち着かせるために、子どもの気持ちを受け入れてあげましょう。

ADHDの子どもは、自分の感情を言葉で表現することが苦手でもあるため、「こうしたかったんだよね」と保育士が子どもの気持ちを代弁してあげてください。

子どもが興奮状態にあるときは、近づいて静かに落ち着くのを待つこともポイントです。

保育においては「じっくり」を心がける

同年齢の子ども達よりも発達に多少の遅れがあることから、不安と焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。

ですが、どんな方法であっても、すぐに効果が出るわけではなく、何週間、何か月後にようやく効果が目に見えて分かる場合もあります。

ADHDの子どもの保育で一番大切なポイントは、じっくりと根気強く向き合うこと

特に、入園やクラス替え直後の時期は、ADHDの敏感な子どもにとって非常に不安定な時期になります。

不安定な時期の子どもを、無理矢理活動に参加させたり、クラスに慣れさせようとすることはかえって逆効果です。

「今は頑張って周りの環境に慣れようとしているんだ」と思って、優しく見守ることも必要です。

ときには無視を活用

子どもが保育士の注意を引きたいがために大声を出したり、騒いでいる場合は、無視をすることも有効な方法です。

子どもがして欲しいと思う行動をしなければ、子どもは同じ行動を繰り返しません。

反対に、ここで構ってしまうと、子どもは今後も同様の行動を繰り返します。

声をかけるだけでなく、あえて子どもから離れるような支援も必要なのです。

ADHDの子どもの保護者対応は?

ADHDの子どもの保護者対応では、保育士としてフォローすることが大切です。

ADHDの子どもを持つ保護者は「他の子どもにケガをさせていないだろうか」「暴れていないだろうか」ということを心配していることが多いです。

保育士は、毎日の子どもの様子や成長をこと細かく保護者に伝えてあげましょう。

「今日はお友達に一緒に遊ぼうと言っていましたよ」「ちゃんと悪いということを理解して謝ることができましたよ」と、伝えてあげられると保護者も安心感を得ることができます。

また、保育園での様子は包み隠さず伝えたうえで「お家で何か困っていることはありませんか?」と悩みを聞くことも大切です。

あわせて、今興味・関心があることなどを聞いておくことで、保育活動に役立てられるヒントが見つかるかもしれません。

まとめ

ADHDの子どもへの保育は、環境の整備や声かけの仕方など配慮が必要なポイントがいくつかあります。

子どもはもちろん、保護者への支援も必要であるため、保育園全体で協力していくことが求められます。

なかなか上手くいかない、と悩む保育士は少なくありませんが、時間をかけてじっくりと向き合うことが大切です。

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