保育園での経験が活かせる「乳児院」|仕事内容や働き方は?

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保育士が働ける職場の一つとして、乳児院があります。そこでの仕事内容は、通常の保育園と大きく変わりません。ですが、乳児院の担っている役割ややりがい、大変さといった部分では乳児院ならではのものがあります。今回は、乳児院の保育士の詳しい仕事内容や働き方、やりがいなどに関して解説します。

乳児院とは?

乳児院とは、保護者の病気や経済状況など、さまざまな事情によって養育が困難な乳児を保護し、養育する施設のことです。

乳児院の目的は、家庭に代わって乳児を見守り育てること。

乳児院で過ごした子ども達は大きくなると、親もとへ戻ったり、里親に引き取られたりします。

親もとへも戻れず、里親も見つからなかった場合は、児童養護施設へと移りますが、中には乳児院にそのまま残るケースもあるようです。

また、乳児院に勤務している職員は、保育士以外に、嘱託医や看護師、栄養士、調理員、個別対応職員、家庭支援専門相談員と、多くの職員がいます。

乳児院では、さまざまな職員とコミュニケーションを取り、連携していくことが求められます。

通常の保育園の保育士との違い

通常の保育園の保育士との大きな違いは、以下の3点が挙げられます。

先生という立場よりも母親・父親の役割を担う

24時間のシフト制勤務

嘱託医や看護師、栄養士、調理員など、多くの職員との連携が必須

保育園の保育士は、保護者や地域の方々の協力のもと、先生という立場で保育を行います。

一方、乳児院の保育士は、保護者とのやり取りはなく、入所している子ども達の母親・父親代わりとして養育を行います。

また、入所している子どもを24時間、保育する必要があるため、夜勤がある点も通常の保育士とは異なる働き方です。

加えて、通常の保育園で働く保育士の中にも、看護師や栄養士、調理員といった他の職種の職員と関わる経験がある方もいるでしょう。

ですが、乳児院の職員は、全員が一丸となって養育に携わる体制であるため、通常の保育園とはまた違った関わり方になるといえます。

 

乳児院に入所する子どもの年齢層と特徴

乳児院に入所する子どもは、原則として0〜2歳の乳幼児になります。

乳児院への入所理由として、主に、母親の疾病や虐待、ネグレクト、両親の共働き、受刑などが挙げられます。

このように、入所の理由はさまざまですが、どれも単純なものではなく非常に複雑です。

また、入所している子どもは、入所した当初から心身に何らかの問題を抱えているケースが多く、実際に入所している子どもの約半数が、病児や虚弱児、障がい児、被虐待児なのです。
参照:厚生労働省|「乳児院運営指針 」

 

乳児院の役割

乳児院の役割は、以下の通りです。

子どもの保護と養育

乳児院の最大の役割は、子どもの保護と養育をすることです。

さまざまな事情から養育することが難しくなってしまった乳幼児を一時的に預かり、24時間365日お世話をします。

子どもが健やかに安全に成長できるよう、保育士をはじめとした色々な職種の職員でチーム一丸となり、支援していきます。

家族や里親の支援

乳児院に子どもを預けている保護者の多くは、病気や経済状況など、さまざまな問題を抱えています。

乳児院では、子ども達が無事に親もとへ帰れるよう、保護者やその家族への支援を行います。

また、子どもを養子として引き取る里親に対しても寄り添い、しっかりと支援していく体制が整っているのです。

専門的な養育

乳児院にいる子どもは、病児や障がい児、被虐待児など、何らかの問題を抱えている子がほとんどです。

そのような子どもに対しては、通常の保育以外に医療や療育といった特別なケアを行う必要があります。

保育士はもちろん、嘱託医や看護師、心理士など、さまざまな分野に特化した専門のスタッフが協力しながら、子ども達のケアに日々当たっています。

地域の子育て支援

乳児院では、地域の市区町村と連携し、さまざまな取り組みを行っています。

例えば、虐待などの緊急を要する場合の一時的な保護や、保護者の病気や出産など養育が難しい場合に一時的に利用できるショートステイなどです。

また、子どもを預かるだけでなく、地域の親子の遊び場の提供や子育て相談援助を行う「地域子育て支援拠点事業」といった事業にも取り組み、地域で暮らす子どもやその保護者への支援も行っています。

 

乳児院の保育士の仕事内容

乳児院の保育士の仕事内容は、乳児の生活全般のサポートです。

基本的には、通常の保育園での仕事内容と変わりはありませんが、入所している乳児は、乳児院で24時間過ごしているため、保育士も夜勤を含む24時間のシフト制で勤務します。

また、生後間もない新生児から入所の対象になるため、新生児の担当になった場合は、3時間おきのミルクや夜泣きの対応も行います。

1日の主なスケジュール

乳児院での仕事内容は、勤務する施設によって異なります。

以下では、1日の主なスケジュール例を紹介します。

7:00 起床/身支度 夜勤の保育士からの引き継ぎ、健康観察、起床のサポート
8:00 朝食 朝食の準備、食事の介助
9:00 遊び 歌や読み聞かせ、外遊びなど子ども達と一緒に遊ぶ
11:00 昼食 昼食の準備、食事の介助、午睡の準備
12:00 午睡 寝かしつけ、午睡チェック、事務作業
15:00 おやつ おやつの準備、おやつの介助、入浴の準備
17:00 遊び/入浴 遊び終わった子どもから順番に入浴に入れる、入浴の介助
18:00 夕食 夕食の準備、食事の介助、就寝の準備
19:00 就寝 寝かしつけ、睡眠チェック、夜勤の保育士へ引き継ぎ

 

乳児院の保育士の雇用形態/給料

乳児院の保育士の雇用形態や給料は、以下の通りです。

雇用形態について

乳児院では、正社員をはじめ、契約社員や派遣社員、パート、アルバイトなどさまざまな働き方の保育士がいます。

ですが、やはり長きに渡り働いてくれる正社員を求めている施設が多いようです。

勤務する施設によって異なりますが、正社員の場合は、基本的に早朝出勤や夜勤があり、2交代制のシフト制で働きます。

パートやアルバイトの場合は、ごく稀に、1日に数時間程度の短時間勤務や固定シフトで働ける施設もあるようです。

給料について

乳児院の保育士の給料は、月給で平均22〜24万円程度です。

これは、通常の保育園で働く保育士よりも少し高めになります。

また、正社員の場合、施設によっては、夜勤手当や住宅手当といった各種手当がもらえるところもあります。

一方、パートやアルバイトの時給は、1000円以上が相場です。

正社員のように各種手当がつかないところもあるため、あらかじめ応募前に確認する必要があります。

 

乳児院の保育士のやりがい/大変さ

乳児院の保育士のやりがいや大変さは、以下の通りです。

やりがい

乳児院の保育士のやりがいは、成長過程にある乳幼児のさまざまな成長を見守れることです。

乳児院に入所している乳児期の子どもの成長は、目覚ましいものです。

ハイハイやつかまり立ち、歩いたり、言葉を覚えて喋ったり…そういった成長を間近で見られることは、母親・父親代わりとして子どもを養育する保育士ならではのやりがいでしょう。

また、乳児院の子ども達は、施設を我が家、職員を家族として認識しています。

ただの保育士ではなく、本当の母親・父親のように子どもから必要とされていることを日々実感できるでしょう。

大変さ

乳児院には、さまざまな問題を抱えている子が多くいます。

乳児期の子どもを健康に育てるやりがいを感じつつも、保育士の接し方によっては、傷ついてしまう場合もあるため、慎重に関わる必要があります。

また、業務の中には、子どもと保護者が良好な親子関係を築くための面会サポートがあります。

しかし、保護者によっては、子どもへの愛情を感じられなかったり、心無い行動を起こす人もいるため、精神的に負担を感じてしまうこともあるかもしれません。

 

乳児院の保育士になるために必要な資格は?

乳児院での保育士として働く場合は、保育士資格が必要になります。

これまでに、0〜2歳児の乳児保育の経験がある場合は、その経験を存分に活かすことができるでしょう。

加えて、病気や障がいを持っている子ども、虐待やネグレクトにより心に傷を負った子どももいるため、医療や福祉に関する知識があると非常に役立ちます。

 

まとめ

乳児院での仕事は、通常の保育園での仕事内容と大きくは変わりませんが、保護者支援や専門的な養育を行うなど、多岐に渡ります。

また、24時間のシフト制勤務で夜勤があるなど、体力的に大変な部分もあるでしょう。

ですが、乳児期の子どもと深く関わり、他職種と連携して業務を進めていくことは、非常にやりがいにつながります。

これまでの保育士経験を活かしたいと考えている方は、ぜひ乳児院への転職を検討してみてください。

 

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