お役立ち情報
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小さな命を預かる保育の現場において、発達障がいを持ちながら保育士として働くことに不安を抱いている方もいることでしょう。一概に発達障がいといっても、種類があり、それぞれに特徴があります。保育士として働くためには、まずは自分が持つ特性を理解することが大切です。今回は、発達障がいを持つ保育士が円滑に働くための解決策を、よくあるケースと併せて紹介します。
■目次
近年、さまざまなメディアで”大人の発達障がい”について取り上げられていたり、芸能人が自身の障がいを公開したりしていることで、「もしかして自分も発達障がなのではないか」とクリニックへの受診を希望する人が増加傾向にあると言われています。
そもそも発達障がいとは、脳機能の障害により認知や行動に症状が現れ、日常生活に困難をきたす状態のことです。
その症状は、子どもの発達障がいと変わりありません。
大人の発達障がいは、それまでの症状が軽かったために、大人になるまで自身が発達障がいであることに気付かなかったり、周囲の人から一つの個性として捉えられていたことから、日常生活において問題が見られなかったというケースが多いようです。
日常生活を支障なく過ごすことができていた発達障がいを持つ人が大人になってから問題となる原因として、大学への進学や就職といった新しい環境が合わないことが挙げられます。
その場合、元々の発達障がいの症状に加えて、うつ病や不眠症といった二次障がいを発症する恐れもあります。
自閉症スペクトラム障がい(ASD)とは、対人関係が苦手だったり、強いこだわりがあるといった特徴を持つ発達障がいの一つです。
大人になってから対人関係が上手くいかない状況が続くと、「周りの人はできているのに自分はできない」「どうして自分は当たり前のことができないんだろう」という違和感を持ち、自尊心の低下につながることも…。
<主な症状>
●相手の気持ちを察することが苦手
●空気を読むことに難しさを感じる
●人との会話が続かないことが多く、コミュニケーションに難しさを感じる
●思ったことをそのまま口に出す
●気持ちや行動を臨機応変に切り替えることが難しい
●場所や時間、行程など、自分の中のルールのこだわりが強い
注意欠如・多動性障がい(ADHD)とは、不注意さや好きなこと以外への集中力や興味・関心がない多動性、突発的に行動してしまう衝動性といった特徴を持つ発達障がいの一つです。
人間性や知能には問題がないにもかかわらず、社会適応力が低かったり、親密な人間関係の持続が難しかったりするため、悩む人が多くいます。
そのようなことから、自尊心の低下につながり、うつ病を伴いやすくなります。
<主な症状>
●注意力や集中力に欠け、他人の話の内容を忘れたりする
●単調な仕事や読書などを持続して行うことが苦手
●約束の時間に遅れたり、締め切りに間に合わないことが多い
●マルチタスクが苦手
●衝動買いすることが多い
●業務などの優先順位をつけることが苦手
学習障害(LD)とは、知的発達や聴覚・視覚機能の問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」といった学習を極端に苦手とする発達障がいの一つです。
ただし、読みにくさや書きにくさの程度は、人によって異なります。
例えば「文字を書き写せない」と特定の能力だけに症状が現れる人もいれば、「読み書き全般が苦手」と複数の能力に症状が現れる人もいます。
<主な症状>
●文字や単語、文章を読むときに正確ではない、もしくは速度が遅い
●「ょ」や「ゃ」などの小さい文字を認識することが難しい
●漢字を覚えられない
●ひらがなやカタカナを書き間違えることがある
●数字を覚えることが苦手
●図形やグラフを理解できない
発達障がいの保育士が仕事をするうえでよくあるケースは、以下の通りです。
特に注意欠如・多動性障がい(ADHD)の方に多いですが、出来事ややるべきことをすぐに忘れてしまうといった特徴があります。
そのため、都度メモを取っていないと、今から何をやればいいのか、次に何をやるべきなのかがわからなくなってしまうことがよくあるようです。
また、保育士の事務作業は覚えることが多いゆえ、万が一メモを取れない状況は発達障がいの保育士にとって足を引っ張る部分となります。
会議に限ったことではありませんが、複数人が集まった状況で話をしたり話を聞いたりすることは、ある種のマルチタスクになります。
発達障がいの方にとって複数人での会話は、聞くこと・自分の考えをまとめること・自分が話すこと・最優先に考えること、それらのどれに焦点を当てればいいのかと混乱してしまう要因になります。
そのため、一つひとつの仕事は丁寧にこなせるにもかかわらず、ゴールがない会議での会話は理解することが難しいと感じてしまうようです。
月案や週案などの計画を順を追って決められないということも、発達障がいの保育士が仕事をするうえでよくあるケースです。
特に注意欠如・多動性障がい(ADHD)の場合、物事を整理して優先順位をつけるのが苦手という特徴があります。
また、ワーキングメモリー(作業記憶)が弱いことから、情報を組み立てることが難しく、何をしたら良いか分からなくなってしまうこともあるようです。
発達障がいの保育士として働くためにできる解決策は、以下の通りです。
発達障がいを持つ方は、基本的にマルチタスクが苦手で、新しい情報が入ってくると前の情報は忘れてしまうという特性が多いです。
そのため、都度メモを取って業務をこなす流れが有効といえます。
また、メモは箇条書きに書いてその場で取り組むのは1つだけというルールを決め、途中で出てきた業務はすかさずメモを取って後回しにする、というシングルタスクで業務をこなすのがおすすめです。
このように、メモを取るにしても少し工夫を凝らせば、1つずつ漏れることなく業務を進めることができます。
発達障がいの方の中には、自分の考えを曲げない特性を持つ方もいます。
そのため、先輩保育士や同僚からアドバイスをされたとき、「でも…」と反発して失敗してしまったという方もいるようです。
もちろん自分の考えを持つことは大切ですが、人間関係が重要な保育の現場では、相手を受け入れることも大切なことです。
さまざまな意見を聞いて受け入れられるようになれば、職場の人間関係も良好になることでしょう。
特にコミュニケーションが苦手という発達障がいの保育士によくあることですが、思いついたことを周りの保育士に確認せず、自分の判断で行動してしまうというケースがあります。
これを続けてしまうと、他の人からは軽い気持ちで行動していると思われ、場合によっては大きなトラブルになりかねません。
そのため、行動に移す前に一旦ストップする癖をつけましょう。
瞬間的に我慢するだけで、自分の行動を制御できるようになるかもしれません。
音に敏感な”聴覚過敏”という症状は、特に自閉症スペクトラム障がい(ASD)の方に多いと言われています。
周りの音や会話が気になって集中力に欠けたり、注意力が散漫して目の前の仕事が疎かになるという人もいます。
職場の理解を得る必要がありますが、事務作業をするときは耳栓をすることで集中でき、作業効率も上がるようになるかもしれません。
失敗は仕事につきものですが、困ったときに助けてもらえるかどうかは発達障がいがある・ないに関わらず、人柄によって決まります。
その人柄を決めるのは、あなた自身の素直さです。
ちょっとしたことでも「ありがとう」という感謝と「ごめんなさい」という謝罪の気持ちを忘れずに伝えましょう。
素直さが伝われば、相手も「しょうがないなぁ」と笑って助けてくれる、そんな人とのつながりができるはずです。
今回は、発達障がいを持つ保育士が円滑に働くための解決策を、よくあるケースと併せて紹介しました。
保育士を目指している方、現に保育士として働いている方の中には、発達障がいと向き合って過ごしている方もいることでしょう。
同僚や保護者、子どもとの人間関係を築くことや多くの業務をこなさなければならない保育士にとって、発達障がいを持つことは多少なりともハンデにはなるかもしれません。
ですが、職場の理解を得て、さまざまな工夫を凝らせば円滑に働くこともできます。
自分の特性を理解しながら、保育士という仕事に誇りを持って素敵な保育士になってくださいね。
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