保育園のアセスメントシートって何?目的や活用法、書き方を紹介

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保育現場で活用できる“アセスメントシート”というものをご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあっても、どうやって使うのか詳しく知らない人は多いでしょう。アセスメントシートは、介護・福祉・看護などさまざまな業界で使われています。特に保育の現場では、子どもの発達支援や虐待の早期発見など、非常に重要な役割を果たしているのです。今回は、保育におけるアセスメントシートに注目し、具体的な目的や活用法、書き方の例文などを紹介します。

保育に役立つアセスメントシートとは

アセスメントシートとは、人物を客観的に評価したり分析したりするためのものです。
「アセスメント」とは、英語で「評価」という意味を持ちます。

以下では、アセスメントシートについて詳しく紹介します。
 

保育におけるアセスメントシートの目的

保育士や保護者などが子どもに対して的確な支援を行うために、アセスメントシートに子どもの発達状況を記録します。

また、複数の機関と連携するための、情報共有の資料としても機能します。

保育所内ではアセスメントシートという言い方はあまり馴染みがなく、代わりに“個人記録”“エピソード記録”として記録することが一般的です。

そして、それらの情報をもとにアセスメントシートに詳細を記入します。

アセスメントシートの形式

保育に関連する場では、アセスメントシートの形式の指定はありません。

多くの場合、専門機関が独自に作成したものが使用されます。

アセスメントシートの内容は、以下で紹介するのプロセスのように、誰が見ても本人の現状や手立てが分かるように記載します。

アセスメントシートのポイント

保育におけるアセスメントシートには、シートに記載された内容だけでなく、少しでも気になることがあれば何でも書き留めることが大切です。

一人だけで判断せず、多くの人の目で見ることによって、些細な問題にも気づく可能性が広がります。

保育におけるアセスメントシートの主な内容

保育でのアセスメントシートには決められた形式がありません。

独自で作った内容が使用されますが、以下では一般的によく採用されているものを紹介します。

基本情報
本人の名前や家族構成、健康状態、生活環境などを記入します。
 

生活の記録
幼稚園や保育園などの在園記録に加えて、習い事やデイサービスの利用なども記録します。 

発達記録
母子手帳に記載されている検診内容や、首すわりなどの発達過程を記入します。 

保育所・幼稚園での個別計画
子どもの実態や考えられる原因、目標、手立てなどを記入します。保育所や幼稚園で作成された個別計画書を添付する場合もあります。 

引き継ぎ内容
小学校への移行時に引き継ぐ内容です。
生活面の食事や排泄、社会性の現状である集団内でのコミュニケーションやルールの理解、そして行われた具体的な支援について明記します。
必要な支援内容が一目で分かるようにすることが大切です。

保育現場でのアセスメントシートの活用例

医療・福祉の現場でよく耳にするアセスメントシートですが、保育現場でも有効に活用されています。
このアセスメントシートは、子どもを守るために使用されます。

以下では、その代表的な活用法を紹介します。

虐待の予防・早期発見

目的
・子ども虐待の早期発見や予防

具体的な活用方法
子どもの様子や保護者の様子を生活面・情緒面・金銭面などのカテゴリに分け、それぞれの項目でチェックする

(例)
生活面:同じ洋服を何日も着ている。
情緒面:子どもが自分の言うことを聞かないと感情がコントロールできなくなったり、手を出したくなったりする。

チェックした項目から判断して、評価を行う。担任だけでなく、ほかの保育士や専門機関へ相談するなどして情報を共有する。

どのような支援をしていくか具体的に記入する。継続的に見守り、定期的に見直す

>>>あわせて読みたい「【保育士必見】保護者支援は保育園の重要な役割!内容や注意点」

子どもの発達支援

目的
・子どもが持つ能力や可能性を明らかにする
・保護者・保育士、専門家と情報を共有し、一貫した支援を行う

具体的な活用方法
好き・嫌い、得意・不得意などの情報収集をする。

アセスメントから、適切な支援を考える。可能なことからアプローチしていく。

保育所や専門機関と連携して継続的な支援を行い、子どもを見守る。

アセスメントシートの発達支援に関するプロセス

アセスメントシートの目的は、きちんと分析し、的確な支援ができるようにすることです。
そのためには、現状を正確に記入しなくてはいけません。

以下では、発達支援においてアセスメントシートを記入する際に、基本となる考え方やプロセスを紹介します。

発達段階を知る

まずは情報収集を行い、子どもの能力や特性などを分析します。

一方向からではなく、広い視野で子どもを見る必要があります。

洋服を着替えて、着ていたものを畳んで片付けることが上手くできない子どもがいる場合

(例)
「洋服を着る」「畳んで片付ける」という言葉の意味が理解できていない。

発達段階に応じた指導計画を立てる

子どもの実態を把握したうえで、適切な指導計画を立てます。

子どもがはっきりとイメージできるように、具体的な手順を示す必要があります。

一つの方法に固執する必要はなく、有効だと思われる手立てを記載しましょう。

(例)
絵カードを見せて具体的な行動を示す。
一緒に洋服を畳みながら「畳む」という言葉と動作を結びつける。

支援する

指導計画に基づいて実際に指導を行います。

この過程での様子を詳しく書き留めることが大切です。

可能であればビデオ撮影を行い、今後の支援に役立てましょう。

反省

アセスメントは、支援計画を実施した時点で終わりではありません。

よかった点や改善点などを振り返り、今後の支援につなげる必要があります。

支援は継続され、環境が変わっても引き継がれることが一般的です。

>>>あわせて読みたい「【保育士必見】療育とは?やりがいや必要な資格についても紹介!」 

アセスメントシートのメリット

多くの現場で使用されているアセスメントシートですが、保育の現場ではどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で詳しく紹介します。

発達を見える化できる

子育てをしていると、不安が尽きません。

また、保育士でも「大丈夫かな?」「何かサポートできないかな」と思うことがたくさんあるでしょう。

アセスメントシートを記入していくと、子どもの発達レベルや不安要素が可視化されます。

それによって、支援の見通しが立てやすくなるのです。
 

情報共有ができる

アセスメントシートには個人の情報がまとめられているため、家庭環境から健康状態まで一目で把握できます。

さらに、同じシートをほかの専門機関等にも記入してもらうため、情報共有がスムーズになります。
 

アセスメントシートの注意点

以下では、アセスメントシートを活用する際の注意点を紹介します。

一人で保育を行わない

保育士や保護者が単独で保育に取り組んではいけません。

複数の視野によって見えてくることがあります。

また、保護者が保育士や専門家と同じような立場になってしまうと、子どもは息苦しく感じてしまいます。

保育は複数の関係者が協力し、連携をとることが大切なのです。
 

子どもの立場に立って考える

大人目線で「こうしたらうまくいく」というのは自己中心的な考え方です。

「こうだからダメだ」という決めつけもよくありません。

子どもの表面的な行動だけでなく、本質的な思いを探り出し、「どうしたいのか」という想いを汲み取りましょう。
 

どんな情報も共有する

アセスメントのために観察や聞き取りをする際、個人的に不要だと判断せず、どんな些細な情報でも適切に記録することが重要です。

何気ない情報でも、大切な意味を持っているかもしれません。
 

まとめ

保育の現場ではまだあまり耳にしないアセスメントシートですが、有効に使うことで保育をスムーズに進めることができます。

子ども達の安全のためにも、一人ひとりを見つめる手段として積極的に活用しましょう。

また、他の機関との連携を図るためにも、アセスメントシートを通じて情報を共有することが大切です。

問題が起こる前に、対策の一つとして取り入れることをおすすめします。

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