お役立ち情報
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保育園の運営に欠かせない保育士の配置基準。政府は「異次元の少子化対策」の一環として、2024年度から76年ぶりに配置基準を見直し、基準の改善や運営費の加算を進めています。この配置基準は、子どもの安心安全を守るために欠かせない重要な基準です。 本記事では、配置基準見直しの背景や最新の動きに加え、国や地方自治体、保育施設ごとに異なる配置基準の違いやその計算方法について詳しく解説します。
■目次
配置基準とは、保育園で1人の保育士が何人の子どもを担当できるかを定めた基準を指します。
この基準は、子どもの安全を確保するために設けられており、年齢が低い子どもほど多くの保育士が必要とされます。
しかし、現在の配置基準では1人の保育士が担当する子どもの人数が多く、次のような問題が指摘されています。
これらの課題は改善が求められており、配置基準の見直しが重要な課題となっています。
政府は、2023年12月に「異次元の少子化対策」の具体案「こども未来戦略」を発表し、2024年度より76年ぶりに保育士の配置基準を見直すことが盛り込まれました。
①2024年度から、制度発足以来75年間一度も改善されてこなかった4・5歳児について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける。また、これと併せて最低基準の改正を行う(経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない。)。
②2025年度以降、1歳児について、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1への改善を進める。
また2024年12月、1歳児に対する保育士の配置基準を園児6人に1人から5人に1人に改善するため、2025年度より保育所への運営費加算が行われる方針が示されました。
加算対象となるのは、ICTの活用や職場環境の改善が進み、職員の平均経験年数が10年以上であるなど、一定の条件を満たし、保育士を5対1以上で配置している保育所です。
政府はこれらの加算関連費用として、2025年度予算案に109億円を計上する予定です。
基準引き上げによる人手不足の深刻化が懸念されるため、2025年度は最低基準の引き上げではなく、加算措置による対応が決定されました。
>>>あわせて読みたい「2024年度から政府が保育士の配置基準を76年ぶりに見直し!」
配置基準は国や地方自治体、保育施設によって異なります。
ここからは各配置基準について詳しく見ていきましょう。
国が定める配置基準は、守るべき最低ラインとして位置づけられており、どの地域・施設においても国の基準を下回らないことが原則です。
保育園を運営する際は、最低でも2名の保育士が必要と決められています。
国が定める基準は以下の通りです。
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
1~2歳児 | 保育士1人に対し子ども6人 |
3歳児 | 保育士1人に対し子ども20→15人 |
4歳児以上 | 保育士1人に対し子ども30人→25人 |
保育の質がより高まるよう、基本的には、国が定める配置基準よりも厳しい配置基準を設定している地方自治体が多くあります。
地方自治体がある都道府県や市区町村によって配置基準は異なるため、確認することが大切です。
認可保育園とは国が定めた基準を満たし、都道府県知事などの認可を受けている保育施設のこと。
配置基準は、国が定める配置基準と同じです。
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
1~2歳児 | 保育士1人に対し子ども6人 |
3歳児 | 保育士1人に対し子ども20→15人 |
4歳児以上 | 保育士1人に対し子ども30人→25人 |
認可外保育施設は、認可保育所以外で、都道府県知事の認可を受けていない保育施設のこと。
●1日に保有する乳幼児の人数が6人以上であり、保育時間が11時間以内の場合
国が定める配置基準と同じです。●保育時間が11時間以上の場合
保育する子どもが1人である場合を除いて、常に2人以上の保育士が必要とされています。>>>あわせて読みたい「認可保育園と認可外保育園の違いって?わかりやすく解説」
0歳から小学校就学前までの一貫した教育及び保育を受けることができる保育施設。
配置基準は、国が定める配置基準と同じです。
※3歳以上の子どもの教育時間については、学級編成及び保育教諭の配置が必要です。
>>>あわせて読みたい「認定こども園ってなに?4つの種類や保育士が働くメリットなど」
定員人数が6人〜19人までと定められている小規模の保育事業。
小規模保育事業では、『A型(保育所分園、ミニ保育所)』『B型(AとCの中間型)』『C型(グループ型小規模保育)』と3つの種類に区分され、配置基準はそれぞれ少しずつ異なります。
A型(保育所分園、ミニ保育所)
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
1~2歳児 | 保育士1人に対し子ども6人 |
※原則として、保育者は全員、保育士の資格が必要です。
B型(AとCの中間型)
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
1~2歳児 | 保育士1人に対し子ども6人 |
※A型とは異なり、保育者の1/2以上が保育士の資格が必要です。
C型(グループ型小規模保育)
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0~2歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
補助者が必要な場合 | 保育士2人に対し子ども5人 |
※保育者は、市町村が行う一定の研修が終了している家庭的保育者と定められています。
>>>あわせて読みたい「家庭的な雰囲気が魅力!小規模保育園で働く特徴やポイントを紹介」
企業内の保育施設で、従業員の子どもと地域の子どもを保育する施設。
事業内保育事業での配置基準は、定員が20名以上の場合、国が定める配置基準と同じです。
しかし、定員が19名以下の場合、国が定める配置基準+1名以上の保育士の配置が必要です。
別名「保育ママ制度」と呼ばれ、保育者の居宅やマンションの一室などで保育サービスを提供する保育事業。
対象年齢の子どもは、0〜2歳児。
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0~2歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
補助者が必要な場合 | 保育士2人に対し子ども5人 |
利用者の自宅に保育士を派遣し、1対1での保育サービスを提供する保育事業。
認可保育園への入園が待機となった子どもが対象。
子どもの年齢 | 子どもの人数 |
---|---|
0~2歳児 | 保育士1人に対し子ども3人 |
※保育士または保育士と同等の知識や経験があると市町村に認められた方は保育が可能。
ここでは、認可保育園の計算方法を例に、配置基準の計算方法を説明します。
まずは、保育園がある都道府県や市区町村の地方自治体の配置基準を確認しましょう。
地方自治体の配置基準がない場合は、国の配置基準を基に計算します。
年齢ごとに、何人の園児が在籍しているかを確認しましょう。
ここでは、以下のように、人数を仮定して計算します。
国の配置基準を基に、②の定員数を配置基準で割りましょう。
小数点以下は全て切り上げて計算します。
※計算式:在園児数÷配置基準の定員数=保育士の人数
上記の保育士の人数を全て足すと、必要な保育士の人数は10人になります。
ただし、この計算で出る人数は、日中で必要となる人数です。
朝夕の延長保育をする場合は、2名以上の保育士を追加してください。
保育士の配置基準は、児童福祉法に定められているため、配置基準に違反した場合は、罰則が課せられます。
配置基準に違反した場合の罰則は以下の通りです。
配置基準は児童の安全と健全な保育を守るために不可欠であり、遵守が求められます。
子ども達の安全を確保するための保育士の配置基準。
保育士不足が続き、配置基準を守っていくことは難しい状況にあります。
労働環境を改善し、子どもたちにとって安全で適切な保育を行うためにも、配置基準の見直しは急務だといえるでしょう。
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