【2024年最新版】保育士の給与引き上げや処遇改善を解説!

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こども家庭庁は、総合経済対策に今年度の保育士と幼稚園教諭の給与を10.7%引き上げる処遇改善策を盛り込んだと発表しました。また2024年度の補正予算案において、保育士の賃上げを含む処遇改善に1150億円を計上しており、抜本的な処遇改善が期待されています。今回は保育士の給与引き上げや処遇改善について、現時点の情報をもとに解説しています。


※この記事は2024年11月29日時点の情報をもとに作成しています。

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保育士の給与引き上げの概要

2024年11月22日、三原こども政策担当大臣は閣議決定された総合経済対策に保育士等の給与を10.7%引き上げる処遇改善策を盛り込んだと発表しました。

保育士等の給与引き上げに関する内容は以下の通りです。

現状からの「大脱却」を図る抜本的な保育士等の処遇改善。

現行の子ども子育て支援新制度(2015年4月開始)において過去最大10.7%増。

出典:『国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項』|子ども家庭庁

今回の引き上げ率(10.7%)は、昨年度の引き上げ率(5.2%)のおよそ2倍となっており、現行の子ども子育て支援新制度が始まった2015年以降最大の引き上げ率となります。

保育士や幼稚園教諭、認定こども園の常勤職員の給与のベースとなる公的価格(公定価格)を改定し、上乗せ分の一部を保育士の待遇改善に充ててもらうかたちで支給が行われます。

今回の処遇改善は今年度分を対象としているため、補正予算が成立した場合、今年4月以降に支払われた給与との差額が遡及して支給される見込みです。

また2024年11月27日、子ども家庭庁は、2024年度の補正予算案において保育士の賃上げを含む処遇改善に1150億円を計上したことを明らかにしました。

これにより人材確保や子どもたちが育つ環境の質の向上を目指します。

加えて、保育施設の整備には840億円が投じられる予定です。

公的価格(公定価格)とは
公的価格(公定価格)は、保育園の運営に必要な費用として国が基準を設けて算出する金額のことです。
この費用は国から事業者に支給され、園の運営費として使われますが、その約8割が保育士の給与などの人件費に充てられています。
そのため、公的価格が引き上げられなければ、人件費の増加も難しい仕組みになっているのです。

保育士の処遇改善の現状

前述の処遇改善策は基本的な人件費に関するものですが、保育士の待遇向上を目的とした「処遇改善加算」も重要な施策の一つです。  

この加算には3つの制度があり、保育士には手当として還元されています。  

こうした処遇改善等加算や給与引き上げを通じて、保育士の待遇を向上させるだけでなく、人材の確保と定着を図ることが狙いです。

区分対象者内容
処遇改善等加算Ⅰ すべての職員 経験や役職に基づき、最大で月額40,000円程度の加算
処遇改善等加算Ⅱ 約3年以上の保育士経験があるキャリアアップ研修修了者など 新たな役割を担う保育士に、月額5,000円~40,000円を加算
処遇改善等加算Ⅲ すべての職員 月額9,000円の加算

 

保育士の給与引き上げや処遇改善が行われる背景

今回の処遇改善が行われる背景として、保育士の給与水準の低さや人材不足という課題があります。

保育士の給与水準の低さが問題視されているため

今回の処遇改善が行われる理由として、保育士の給与が仕事内容に見合っておらず、給与水準の低さが問題視されていることが挙げられます。

厚生労働省の調査によれば、昨年の保育士の平均年収は約400万円である一方、同じく子どもに関わる職種である小中学校教員の平均年収は約660万6000円となっており、両者には約260万円の差があります。

このような給与格差が、保育士の確保を難しくする原因の一つとして指摘されてきました。

今回の処遇改善が実現すれば、単純計算で年間42万8000円程度、保育士の平均年収の増加が見込まれます。

出典:『令和5年賃金構造基本統計調査』|厚生労働省

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人材が慢性的に不足しているため

共働き世帯の増加により、保育所などで働く人材は深刻な不足状態が続いています。

厚生労働省の調査によると、2024年7月時点の保育士の有効求人倍率は2.69倍で、およそ2万7000人の保育士が不足しています。

さらに、2026年度からは親の就労状況に関係なく子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」の全国実施が予定されており、実施に向けて人材を確保することが急務となっています。

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給与引き上げ以外に求められる保育士支援とは?

給与引き上げは重要な改善策ですが、それだけでは保育士の働きやすさを根本から解決するには不十分です。

保育士が安心して長く働ける環境を作るためには、職場環境の改善やキャリア支援が不可欠といえるでしょう。
 

職場環境の改善

保育士の職場は人手不足により一人ひとりの負担が重くなりがちです。

特に、長時間労働や持ち帰り仕事が続く状況では、給与が引き上げられても離職率は下がりにくいと言われています。

そのため、適切な人員配置やシフト管理、ICTを活用した業務の効率化が急務です。

また、保育士の心理的負担を軽減するために、メンタルヘルスケアの提供や外部専門家による相談窓口の設置も効果的です。

こうした取り組みが、現場での働きやすさを向上させる鍵となるでしょう。

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キャリアパスの多様化とスキル向上の支援

保育士がやりがいを持ち続けるためには、明確なキャリアパスが欠かせません。

現在の保育現場では昇進や専門性を高める機会が限られているため、リーダーや園長への昇格に加えて、専門資格取得やスキルアップのための研修制度が必要です。

また、保育士がほかの教育や福祉分野でキャリアを広げられるよう、異業種交流や職能開発の機会を増やすことも重要です。

こうした仕組みは、保育士の成長を促し、長期的な就労意欲を高めることにつながります。

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保育士が園長になる方法とは? 仕事内容や必要なスキルを解説

 

まとめ

今回は2024年の保育士の給与引き上げや処遇改善に関して解説しました。

今回の給与引き上げは現行の子ども子育て支援新制度において過去最大の10.7%増となっており、1150億円の補正予算も組み込まれていることから、保育士の処遇改善が期待されます。

このような大幅な給与引き上げは保育士の待遇改善に大きく寄与するものの、さらに好条件を求める場合や職場環境を変えたいと考える方にとっては、転職も有力な選択肢の一つです。

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