お役立ち情報
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業務内容に対する給料の安さなどを理由に「保育士は割に合わない」と感じている方も多いのではないでしょうか。子どもが好きで「子どもと関わる仕事がしたい」という夢を持つ方にとって、保育士は人気の職業です。一見、保育士には華やかで楽しそうなイメージがありますが、実際は激務と言わざるを得ません。今回は、保育士が割に合わないと感じる要因について、詳しく解説します。
■目次
保育士が割に合わないと感じるのは、メインである保育以外の仕事に、多くの時間を取られるためです。
保育士は子どものお世話以外にも、事務作業や保護者対応など、多くの仕事に追われています。
好きな仕事をしているはずなのに、いつの間にか仕事の方向性が分からなくなってしまうことも……。
さらに「自分の働きに見合った分の給料をもらえているのか?」と、疑問に感じることも少なくありません。
さまざまな要因が重なって、保育士は割に合わないと思うようになるのです。
>>>あわせて読みたい「保育士の労働環境を改善したい!現状の課題と解決策は?」
子どもを預かる時間は、7時から19時が一般的です。
そのなかで早番・普通番・遅番に分けてシフトが組まれます。
就業規定上、労働時間は1日8時間以内となっていますが、仕事の特性上8時間では終わらない場合がほとんどです。
保育中は子どもから目を離すことはできません。
保育をしながらほかの事務作業を並行して行うことはできないため、子どもの降園後にやっと自分の仕事に取りかかることになります。
<保育士業務の一例>
●保育計画の作成
●保育日誌の記録
●連絡帳の記入
●職員会議
●保護者の対応
●教室や廊下、トイレの掃除
●教室の飾り付け
●製作や行事の準備
このように、保育士は日々たくさんの業務に追われています。
夕方以降の時間でこの量の仕事をこなさなければいけないため、気が滅入ってしまうのも無理はありません。
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、保育士の残業時間(超過実労働時間数)は、月約3時間と記載されています。
これはあくまで残業代を支払った分の時間を指しており、実際には無報酬のサービス残業が蔓延していると考えられます。
さらに、近年では共働きの保護者が増えたため、預かり保育が長時間化していることも、労働時間が長くなっている理由の一つです。
>>>あわせて読みたい「【保育士の残業問題】原因と残業時間削減のためにできること」
昔から保育園では、休みや有給休暇を取りづらい風潮があります。
保育士不足の現状から「休むと職場に迷惑をかけるのでは」と悩む保育士は多く、働き方改革が進む現代でも、その意識は未だ根強く残っています。
特に新人保育士の場合は、先輩が休んでいないと休暇申請をしづらいため、体調不良でも休めないことがあります。
保育士が担う事務仕事はたくさんあります。
上記のような書き物を、園によってはほとんど手書きで作成しています。
「手書きの方が気持ちがこもっていてよい」という固定観念が、パソコンの普及を妨げている要因なのかもしれません。
>>>あわせて読みたい「【保育士の有給】有給休暇の仕組みと取りやすくするコツを解説」
保育士が割に合わないと感じる大きな理由は、持ち帰り仕事という習慣にあるでしょう。
製作物の準備やクラスだよりの作成などは時間がかかるため、業務時間内では終わらないことがしばしば。
「どうせやるなら、家でゆっくり……」と思う保育士も少なくありません。
そのため「ほかの保育士が仕事を持ち帰っているから」という暗黙のルールで持ち帰り仕事が当たり前になってしまい、プライベートの時間が削られることになるのです。
さらに、事務的な仕事だけでなく、ピアノやダンス、劇の練習にも時間を取られます。
自主練習に関しては終わりがないため、余計に精神的な負担になってしまいます。
>>>あわせて読みたい「保育士は持ち帰り仕事が当たり前?実態や減らすための対策を紹介」
「子どもが怪我をした」「友達同士で揉め事があった」など、保育の現場においてトラブルはつきものです。
何かトラブルが起きた場合、その対応に時間を取られて、自分の仕事が後回しになることはよくあります。
特に子どもが体調不良の場合は、保護者のお迎えが来るまでずっと側で見守る必要があり、その都度臨機応変に対応しなければいけません。
その結果、自分の仕事の時間が削られてしまいます。
>>>あわせて読みたい「【保護者対応トラブル】原因別・事例別で見る保育士の対処法」
先述の通り、保育士の仕事は多岐に渡ります。
これらの仕事内容に比べて給料が低いと不満を感じる保育士は多いでしょう。
では、保育士の給料はどうして上がらないのでしょうか。
保育園の運営は、国や自治体からの補助金で成り立っています。
一般企業とは違い税金で賄われているため、充実した資金がない施設の場合は、なかなか給料の増加を期待できません。
保育士が役職に就けるのは、多くの場合40代になってからです。
昇給のためにキャリアアップを目指すとしても、長い時間がかかります。
また、保育業界の仕事は、保育の需要と供給という関係で成り立っています。
子どもの人数が多い都市部では保育の需要が高く、保育士の仕事に対して高い賃金が支払われます。
一方、子どもが少ない地域では保育の需要が低く、支払われる賃金は安くなります。
このような地域格差の実態も大きく影響しているようです。
給料の改善が難しいなら、仕事の内容を見直すしかありません。
しっかり休憩や休暇が取れたり、時間外労働や持ち帰り仕事を減らすなど、当たり前のことが普通になるような環境を整えていきたいですね。
ICTとは情報通信技術と呼ばれ、ネットワークを活用した情報や知識を共有する仕組みのことをいいます。
保育業務の負担軽減を目的に、厚生労働省では平成27年からICT化を推進する事業に力を入れており、導入した保育園には一定額の補助金の交付を行うなどの取り組みが行われています。
保育業界での活用例としては、登降園管理や保護者との連絡、保育計画の作成などをICTツール上で行い、共有、保管します。
実際にICT導入の成果として、以下のような報告が出ているようです。
●日誌や連絡事項の省力化で4割程度の業務時間削減の効果があった。
●印刷が不要になったことで、紙代と印刷代を合わせて約30万円/年程度の支出が削減された。
参照:厚生労働省|「ロボット・AI・ICT等を活用した保育士の業務負担軽減・業務の再構築に関する調査研究」について一方で、ICT化が進まない要因としては、
などの課題があり、保育の現場の混乱を避けつつ、スムーズな移行を検討していく必要があるでしょう。
>>>あわせて読みたい「保育業界のICT化とは?ICT化のメリット・デメリットも紹介」
>>>あわせて読みたい「初心者向け!保育士におすすめのパソコンは?選び方のポイントも」
保育士の勤務時間管理は、未だ曖昧になっているのが現実です。
出勤したら、出勤簿に印鑑を押すだけという園もあります。
交代シフト制の場合はそれぞれ定時が異なるため、一人では帰りづらいという意識が生まれてしまいがちです。
勤務時間は自分でしっかり管理し、時間の使い方が守られるよう働きかけていきましょう。
最近では保育士の負担を減らすため、行事の簡素化や行事自体をなくす保育園が増えています。
保護者にとって行事は、子どもの成長を確認できる節目として大切な機会でもありますが、その準備にはたくさんの時間と労力が必要となります。
今まであったものをなくすのは、もちろん難しいことです。保護者からの反対やクレームもあるでしょう。
そのため、普段から保護者との信頼関係を築き、理解を得られるような対応を考えなければなりません。
「昔からの伝統だから」「毎年やっていることだから」という習慣を一度見直し、よいものは残しつつ勇気を持って廃止する選択は、きっと保育士の未来を変えることにつながります。
>>>あわせて読みたい「【年間行事】保育園での定番行事・祝日|1~12月まで」
今回は、保育士が割に合わないと感じる理由についてご紹介しました。
保育士が余裕を持って働ける環境は、保育の質を向上させ、子どもたちにも還元されることでしょう。
環境改善が難しいと感じるときは、転職や違う働き方を検討してみるのもよいかもしれません。
自身のライフスタイルに合ったベストな働き方を、一度考えてみてはいかがでしょうか。
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